2019 Fiscal Year Research-status Report
体感品質を客観的・連続的・無意識的に測定・改善する生体信号連動型ネットワーキング
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19K11939
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小俣 昌樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60402088)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生体信号 / 視線追跡 / 皮膚コンダクタンス反応 / 覚せい度 / 注視 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ネットワークを中心とする情報処理に対するユーザの体感品質を,そのユーザから客観的・連続的・無意識的に得られる生体信号から連続的に推定し,その変量に連動してネットワークの制御パラメータを変動させる『生体信号連動型ネットワーキング』を構築すること,および,その有用性を証明することである.これは,Soiciety5.0の計画で提唱されている「人間中心社会」における「必要なサービスを必要なときに必要なだけ提供する」機能へ貢献すると考えている. 令和元年度は,令和元年度から令和2年度に渡って計画している,ネットワーク品質尺度およびアプリケーション品質尺度の変化とそれらへのユーザの要求・反応・体感(情動・ストレス・注意)の変化との関係について,ユーザの脳波・脈波・視線などの生体信号から推定する方法を解明するための一環として,動画視聴者の視線と皮膚コンダクタンス反応を記録して,動画視聴者の動画上の注視範囲と動画から誘発される覚せい度を動画上に可視化するシステムを設計・実装・評価した.この結果,視聴者の自己申告による注視範囲と視線データから算出した注視範囲とが約80%一致していることがわかった.一方,視聴者の自己申告による覚せい度と皮膚コンダクタンス反応から推定した覚せい度とを比べると,推定値は申告値よりも全体的に低めになり,5段階で平均1.3ほどの差が生じることがわかった.これらの結果は,本研究の目的であるユーザの体感品質を生体信号から連続的に推定するための基礎的なデータとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度の当初の計画としては,ユーザの体感品質を10段階の分解能で分析する計画であったが,現在までに構築した推定モデルの改善が必要となったため,5段階に留まった.また,計画通りにネットワークシステムへの生体信号の適用およびIoT機器から得る生体信号の利用にまで至ったが,IoT機器の誤差への対応が必要になったことと,ネットワークシステムにおける本研究のためのソフトウェアにおいて,より効率のよいシステムへと部分的な設計の変更をおこなったことから,当初予定とは異なるソフトウェアの導入および実装が必要となり,遅れが生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築したユーザの体感品質を推定するモデルの精度を改善する.また,設計・実装中のネットワークシステムおよびIoTシステムの設計・実装・評価・改善を進め,本研究の目的である『生体信号連動型ネットワーキング』の基礎部分を構築する.
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Causes of Carryover |
研究を進めていきながら必要に応じて研究費を執行していたため,当初の見込み額と執行額との間に差が生じたが,研究計画自体に変更はなく,当初の計画に基づいて進めていく.
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