2022 Fiscal Year Annual Research Report
体感品質を客観的・連続的・無意識的に測定・改善する生体信号連動型ネットワーキング
Project/Area Number |
19K11939
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小俣 昌樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60402088)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生理心理学 / 生体信号 / 体感品質 / 動画品質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ネットワーク上での情報処理に対するユーザの体感品質(Quality of Experience:QoE)を,そのユーザの生体信号から客観的・連続的・無意識的に推定し,その変量に連動してネットワークの制御パラメータを変動させる『生体信号連動型ネットワーキング』を設計すること,およびその有用性を証明することである.これは,Society5.0の「人間中心社会」における「必要なサービスを必要なときに必要なだけ提供する」機能へ貢献すると考える. 最終年度の令和4年度は,ユーザの体感品質を80%以上の精度で推定するモデルを構築する計画およびネットワークトラフィックの変化と体感品質との関係を解明する計画の総合的な実験として,ネットワークを介して動画を視聴するユーザの脈波・脳波・視線座標・瞳孔径および映像品質への印象評価を記録し,これらのデータからトラフィックの変化を想定した映像品質の劣化に対するユーザの主観評価値を推定する方法を設計・実装・評価した.その結果,決定係数0.8以上の精度で主観評価値を推定可能であることがわかった. 研究期間全体として,従来研究での感情刺激はもとより,動画視聴や疑似拍動刺激および映像の品質劣化に関しても,ユーザの生体信号の変化の傾向が見られることがわかり,生体信号がQoSを客観的・連続的・無意識的に推定するためのひとつの指標になり得ることを示せた.あわせて,本提案システムのプロトタイピングとして,ネットワーク処理部分の主たる機能となる「帯域分配制御システム」および「帯域分配スイッチングハブ」を試作できたが,新型コロナウイルス感染症の影響により参加者を募った活動が困難であったため,このシステムとユーザの生体信号とを統合したネットワーク制御およびそのQoE変化への影響の検証に関する計画の実施にまでは至れなかった.
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