2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of Maintenance-free Context Recognition by Passive Sensing
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19K11941
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内山 彰 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (70555234)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バッテリレスセンシング / Wi-Fi / CSI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,人の行動などの状況認識を低コストに実現するため,電力の供給が不要なバッテリレスタグを用いた受動型センシングによるメンテナンスフリーな状況認識技術の開発を目的としている.この目的達成に向けて,初年度は,バッテリレスタグの設計に関する検討を行うとともに,Wi-Fiチャネル状態情報(CSI)を利用した通路などにおける屋内空間の人数推定手法の設計を行った. バッテリレスタグの設計に関する検討では,3Dプリンタを用いてダイポールアンテナを製作し,その特性調査を行った.その結果,3Dプリンタによるアンテナ製作では,導電性素材の特性を考慮した印刷が必要となるため,印刷速度や抽出温度,厚みなどの細やかな調整が必要であることが確認された.製作したダイポールアンテナをバッテリレスタグとして利用するためには,アンテナにより電波になんらかの影響を与え,識別可能とする必要がある.この初期検討として,ダイポールアンテナの中央に物理スイッチを取り付け,そのON/OFFを切り替えることでアンテナ特性を変化させ,周囲の電波に揺らぎを生じさせる.物理スイッチのON/OFFを電子回路的に再現し,実験を行ったところ,アンテナと受信機が1.5m程度の距離であればスイッチング速度に応じた周波数シフトが検出可能なことを確認した. CSIを利用した人数推定手法においては,歩行に伴う人の動きによってWi-Fi電波が変動することを利用した手法を設計した.提案手法ではWi-Fiサブキャリアごとの振幅および位相の分散を特徴量として,機械学習により推定モデルを構築する.ホールおよび通路での実験により,平均絶対誤差0.39人で0-9人の人数を推定可能なことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画では,1.アンテナ特性を利用したバッテリレスタグの設計開発,2.対象装着型バッテリレスタグによる状況認識技術の開発,3.環境設置型バッテリレスタグによる状況認識技術の開発,の3つに取り組む予定であった.これに対して,初年度はバッテリレスタグの設計に関する検討,およびWi-Fiチャネル状態情報を利用した状況認識技術の一つとして,通路などにおける屋内空間の人数推定手法の設計を実施した.バッテリレスタグの設計に関する検討は計画の1.,2.双方に共通する基本要素であり,観測可能な距離やタグの設計にあたり考慮すべき事項などの基礎検討が進められた.計画の3.を実施するにあたり,Wi-Fiチャネル状態情報は非常に重要な基礎となる技術であるため,これを利用した状況認識技術の設計を行ったことは今後に向けて有益であると考える.以上より,おおむね順調に進展しているものと判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きバッテリレスタグの設計を行うとともに,その特性に応じた状況認識技術の開発に取り組む.また,初年度の検討結果より明らかになった新たな課題にも取り組む.バッテリレスタグでは,最大でも1m程度までしかタグによる電波変動の影響を受信機で観測できない可能性があり,近距離でも実現可能な状況認識アプリケーションの検討が必要となる.また,環境発電を利用し,電力収支をプラスにすることで,実質的なバッテリレスセンシングを実現することも検討すべきと考える.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により,実験機材の年度内納入が困難となったこと,および2020年3月に予定していた国際学会への参加がキャンセルとなったことから,次年度使用額が生じた.次年度も国際学会は当面オンラインでの開催が行われており,計画よりも旅費の支出が抑えられる可能性が高い.残額分は実験のための物品購入や人件費・謝金に充てることで,助成金を最大限有効に活用するよう努める.
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Research Products
(7 results)