2020 Fiscal Year Research-status Report
NFVネットワークにおける利己的最適サービスチェイニング
Project/Area Number |
19K11942
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
笹部 昌弘 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (10379109)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ネットワーク機能仮想化 / サービスチェイニング / 機能配置 / 整数線形計画問題 / 容量制約付き最短経路ツアー問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネットワーク機能仮想化技術Network Function Virtualization (NFV)を導入することで,汎用サーバ上でネットワーク機能をソフトウェア(Virtual Network Funcion: VNF)として実現することが可能となり,その結果,柔軟かつ低コストなネットワークの運用の実現が期待されている.特に,特定のネットワークサービスを複数のネットワークの機能(VNF)の列(サービスチェイン)としてみなし,サービスチェインを実現するサービスパスを構築する問題はサービスチェイニングと呼ばれる.ここでサービスパスとは,サービスの提供元から提供先へと至る通信経路であり,経由するサーバ上で所望の順序に従いVNFが順次実行される. 今年度は,前年度に確立した,サービスパスの遅延最小化を目的としたサービスチェイニング問題に対し,VNFの物理ノードへの配置問題を同時に解決可能な最適化問題を新たに定式化した.その結果,想定する問題は容量制約付き最短経路ツアー問題(Capacitated Shortest Path Tour Problem: CSPTP)に基づく整数線形計画問題(Integer Linear Program: ILP)としてモデル化できるとともに,VNFの配置数や配置場所をサービスへの需要に応じて適切に決定することで,サービス要求への応答性や資源利用効率を向上できることを示した. また,サービスチェイニングに求められる特性はサービスパスの遅延以外にも想定される.この点を考慮し,新規サービスの受理率,消費電力,耐故障性の観点で優れたサービスチェイニングの実現を可能とする最適化問題を新たに定式化した.数値評価により,受理率と消費電力のバランスを制御パラメタにより調整できること,サービスパスの遅延増大を抑えた上でその冗長化を達成できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サービスチェイニングとVNFの配置問題を同時に最適化可能なILPの定式化や,サービスパスの遅延最小化以外のシステム性能(新規サービスの受理率,消費電力,耐故障性)の考慮など,研究成果は順調に得られており,得られた成果の一部は,IEEE Transactions on Network and Service Management (IEEE TNSM)における雑誌論文の掲載,国際会議IEEE Conference on Network Softwarization (NetSoft) 2020における発表,電子情報通信学会・ネットワークシステム研究会における発表の形で広く社会に公開している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに提案したサービスチェイニングおよび機能配置問題はいずれもILPとして定式化される.ノード数が数百程度のシステム規模であればCPLEXなど既存の線形ソルバでも実用的に最適解が得られることがこれまでの評価からわかっている.一方で,これらの問題はいずれもNP困難となるため,システム規模に対する計算量の大幅な増加や処理のリアルタイム性が求められる状況への適用などの観点で課題が残されている.また,ILPとしての定式化はシステムの観点からは集中型制御の一種とみなされるが,複数の利害関係の異なるユーザが利用する場合には,ユーザ間の競合関係を考慮した分散型制御が求められる.以上の点を考慮し,本年度では,利害関係の異なるユーザ間の競合関係の解決のため,ゲーム理論に基づく分散型制御によるシステムの最適化を目指す.
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Causes of Carryover |
(理由) 新型コロナウイルスの感染状況により国内外の学会が現地開催からオンライン開催に変更されるケースが多く発生したため,学会への参加費用に変更が生じたこと.また,導入を予定していた計算機の発売時期が遅れているため. (使用計画) 学会の開催形態に関しては,今年度も引き続き新型コロナウイルスの感染状況により変化する可能性が高いため,状況の変化に注意し,対応する.また,導入を予定していた計算機は次年度中には発売される見通しのため,その際の購入費用の一部に充てる予定である.
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