2021 Fiscal Year Research-status Report
モジュラー設計可能な暗号プロトコルの設計技法に関する研究
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19K11960
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
藤崎 英一郎 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (00805608)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コミットメント / 汎用結合安全性 / 耐量子計算機安全性 / 格子問題解読 |
Outline of Annual Research Achievements |
コミットメントから任意の暗号プロトコルが構成出来ることが知られている。一方、汎用結合安全は暗号プロトコルのモジュラー設計を可能にする安全性のクラスである。さらに汎用結合安全性の中で特に高い安全性のクラスが適用的攻撃安全な汎用結合安全性である。今年度、効率の良い適用的攻撃安全な汎用結合安全コミットメント方式を電子情報通信学会論文誌に投稿し採録された。 将来大規模量子計算機が実現される可能性があり、量子計算機耐性というのが一つの重要な要素になっている。耐量子計算機暗号でもっとも有望視されているのは格子問題に基づく暗号である。格子暗号を構成するにあたり基本となる問題は最近ベクトル問題 (CVP) と最短ベクトル問題 (SVP) であるが、これらの問題は量子計算機を用いても解読が困難であると思われている。ここで解読困難性は漸近的な議論であり、次元が小さければ解読されてしまう。一般に、量子計算機を使うと、古典計算機を使った場合より3倍の次元までは解ける可能性があると言われているので、古典計算機を用いて解読実験を行うことにより、量子計算機に対する安全なパラメータを予測することが出来る。CVPおよびSVPを解く強力なアルゴリズムであるBKZアルゴリズムのサブルーチンとして使われるENUMの改良を行い、国際会議 International Conference on Information Security and Cryptology に投稿し Best Paper Award を受賞した。 昨年度、電子情報通信学会論文誌に採録された離散対数型署名の帰着効率を改善した論文が今年度の電子情報通信学会論文賞を受賞した。 金沢暗号理論勉強会(2021年6月)を主催し、耐量子計算機暗号の候補となりうる、格子暗号、多変数多項式暗号、ナップザック暗号に関する勉強会を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの世界的流行のため他の研究者と直に話し合う機会をほとんど持てないこと、同じく大学の授業と業務形態の変化への対応のため研究進捗は遅れている。一方、遠隔でも質の高い研究議論が行えるよう機材を購入し環境を整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
社会的に不確定な要素はあるが、耐量子安全性をも追求した上でモジュラー設計可能な暗号プロトコル設計の研究を進めていく。また、格子問題の解読研究も並行して行う。
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Causes of Carryover |
コロナの流行により国内外の出張がほとんど出来なかったこと、研究集会が思ったように開けなかったことが理由である。令和4年度は、国内外の出張や研究者の招聘のために予算を使う予定である。
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