2019 Fiscal Year Research-status Report
IoTマルウェアのサイバー攻撃を防ぐ善玉ボットネットシステムの開発
Project/Area Number |
19K11965
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山口 真悟 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (00294653)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ANUARUDDIN MOHD 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (80804492)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ボットネット / IoT / セキュリティ / マルウェア / ワーム / ペトリネット / シミュレーション / モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、サイバー攻撃の攻撃者がボットネットを使うやり方に倣って,サイバー攻撃の防衛者がボットネットを使うことによって防衛能力を飛躍的に向上させることである. まず善玉ボットネットを構築するための善玉ワームを設計した。IoTシステムは複数のノードからなり,各ノードにはデバイスがある.マルウェアや善玉ワームは,あるデバイスから別のデバイスへ感染しながら,増殖していく.感染したデバイスはボットになる.ただし感染したデバイスを再起動すると,マルウェアや善玉ワームは消滅するので,そのデバイスはボットから正常な状態へ戻る.善玉ワームはマルウェアに感染しているデバイスにも感染できるように二次感染力を有するが、回復後はそのデバイスに居座り続けることがないように自滅するための寿命を設けた。 次に、悪玉ボットネットと善玉ボットネットの戦いをマルチエージェントシステムと捉え、エージェント指向ペトリネットPetri Nets in a Petri Net (PN2)を使った数理モデルを開発した。モデルの構築には報告者らが開発したシミュレータPN2Simulatorを用いた。PN2Simulatorは元来、インタラクティブな処理を得意とするツールであるが、様々な状況を人手を介さずシミュレーションするためバッチ処理が行えるように拡張した。シミュレーションの結果、善玉ワームは悪玉ボットの数を減少させ,寿命によりそれらの多くが自滅することを確認した。 さらに善玉ボットネットを用いて悪玉ボットネットからIoTシステムを守る「ボットネット防衛システム(Botnet Defense System; BDS)」と呼ぶ新しいサイバーセキュリティシステムのコンセプトとシステム構成を提案した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は令和元年度から始まる3カ年計画である。初年度である令和元年度は、当初計画した課題に対して上述の通り十分な成果を得た。さらに、2年目の課題である「善玉ボットネットの管理・運用法の開発」に対して、ボットネット防衛システムのコンセプトとシステム構成を明らかにした。以上のことから、当初の計画以上に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目の令和2年度は、まずボットネット防衛システムの設計に取り組む。ボットネット防衛システムのオペレーションは以下の通りである:(1) IoTシステムを監視する。(2) 悪玉ボットネットを検出すると、その状況を分析し、悪玉ボットネットを駆逐するための戦略を立てる。(3) その戦略に基づいて、善玉ワームをIoTシステムへ投入し,悪玉ボットネットを攻撃するための善玉ボットネットを構築する。(4) 善玉ボットネットを指揮統制することによって、悪玉ボットネットを駆逐する。各タスクを実行するコンポーネントの詳細を明らかにする。 次に、その設計に基づいてボットネット防衛システムのプロトタイプを開発する。プロトタイプのテストベッドとして比較的安価で汎用性の高いラズベリーパイゼロを多数接続したシステムを構築し、ボットネット防衛システムの効果を実証する計画である。
|
Causes of Carryover |
3月に国際会議の発表の予定があったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のためキャンセルとなった。当該年度に使用予定だった助成金と次年度の助成金を合わせて、次年度に開催される国際会議で発表するために使用する。
|