2021 Fiscal Year Research-status Report
適応型学習環境における学習者のプライバシを保護する学習履歴管理基盤
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19K11978
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 知恵美 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (20362832)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ピアラーニング / 暗号化データベース / 教育データ分析 / 遠隔講義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はクラウド環境における暗号化データベースのデータ挿入方法についての研究をおこなった。オンライン教育コンテンツにおける学生のテスト解答結果をクラウド環境に保存し、サービスプロバイダに評価情報について秘匿したままアップデートする必要があるが、一般的に暗号化データベースではデータ挿入することによって差分で状況が判明してしまうため、更新が難しいとされている。 本研究では、信頼できる実行環境(TEE)を用いることで挿入時の撹乱処理をサーバー側で安全に行える手法を提案した.提案手法におけるデータ量と挿入箇所の秘匿に対する安全性を論理的に示し、実験で挿入の処理時間やノイズの量を検証することで,想定するユースケースにおいて大きな負担にならない性能で実行できることを示した.TEEの代表的な製品であるIntel SGXはIBM Cloud等で利用できるため、クラウド上にデータベースサービスを提供することによって実現可能となる。 また、オンライン授業においてファシリテータを必要とせず相互学習環境を活発にするための手法についても研究した。これを用いることにより、教員や他の受講者が受講者の理解が不十分な点を閲覧することなく、オンライン授業を受講する学生がAIと会話することで、受講者同士のピアラーニングが実現できる。本年度は各受講生から理解が不十分な点として集まった質問や曖昧な理解を、別の受講生が答える仕組みを導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
要素技術に関しての研究は進んでいるが、これらを組み合わせて 受講者の理解状況を保護しつつ互いに助け合える環境の実装にまでは至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、これまでに研究してきた要素技術を組み合わせて オンライン授業コンテンツを用いた授業について受講者の個人情報を保護したまま受講者同士助け合えるシステムの開発を行う。 授業の想定は動画コンテンツを利用した、オンラインでの自由進度学習を想定し、小テストや動画での具体的な場所を指定した質問とともに各受講生の理解度を収集することができる。当初は個人情報を知られたくない相手に評価者(教員)を含めていたが、それに対するデメリットが大きいため、受講生の状況を保護する相手は他の受講生、メンター、および、クラウドのサービスプロバイダを想定することとした。クラウドサービスでは2021年度に開発してきた挿入可能なマルチマップを利用し、受講生のテスト解答結果と講義動画に対する質問内容を挿入し、検索可能にする。そのデータを用い、ファシリテータを必要としない相互学習環境を実装し、受講生同士および受講生ーメンター間の相互学習を促進させる。また、受講生の理解状況は受講生及び教員に可視化できる。
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Causes of Carryover |
国際会議発表が全てオンライン発表になったため、想定していた旅費・参加費がほとんど不要になった(参加費も発表者以外は無料となることが多かった)。 本年度は、これまでに研究してきた要素技術を組み合わせてオンライン授業コンテンツを用いた授業について受講者の個人情報を保護したまま受講者同士助け合えるシステムの開発を行う。開発および評価にかかるクラウド利用料、開発環境、および、成果発表の学会参加費および論文投稿費に使用する予定である。
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