2019 Fiscal Year Research-status Report
XR技術による超高解像度都市環境シミュレーションのインタラクティブ可視化
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19K11995
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
川原 慎太郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(情報エンジニアリングプログラム), 技術研究員 (60415982)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | XR可視化 / バーチャルリアリティ / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究が目指す都市スケールでのXR可視化を実現するにあたり、みなとみらい(MM21)地区および泥亀公園(横浜市金沢区)を対象とした高解像度都市暑熱シミュレーションの結果を可視化し、ヘッドマウントディスプレイを使って提示できるようにした。この際、提示用アプリケーションとしてCAVE型VR装置用に開発された可視化ソフトウェアであるVFIVEを用いた。そのソースコードを研究代表者が開発した特殊なC++用ライブラリであるCLCLを用いてビルドすることによりヘッドマウントディスプレイでも動作するようにした。これにより、対象となる領域中の気温分布のボリュームレンダリングによる表現や、風のベクトル場に基づく多数の流跡線を、手持ちコントローラによるユーザ自身のインタラクティブな操作により描画することにより、特定の建築物の上層からの排熱の様子や、建築物間を結ぶ連絡通路下を吹き抜ける風の様子などをユーザに対して効果的に提示することができた。本システムが可搬であることを最大限に生かし、国内外の学術集会や展示会などの専門家の集まる場所だけでなく、非専門家を対象としたXRデモについても多数実施し、広くニーズ調査を行った。この中で、特に行政および民間を対象としたデモにおける体験者からは、「XR技術を用いることでシミュレーションや観測で明らかとなった種々の現象を立体的に捉えることができるため、専門家でない我々にも非常にわかりやすい」など非常に好意的な評価を得ることができた。また、所属機関において導入した3-Dカラープリンタを用い、XR表現時における現実空間内の実物体との重畳表示に用いる、都市3-Dモデルデータの出力を試みた。この際、出力結果をXR可視化で利用することを念頭に置き、出力時の適切な縮尺を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヘッドマウントディスプレイへの可視化結果の表示と、そのインタラクティブな操作については、これまで培ってきた関連技術を効果的に用いることにより、ほぼ想定通りの成果を得ることができた。同時に、3-Dプリンタにおける立体物の出力ノウハウを蓄積することを目的として、3-D都市モデルデータに含まれる建築物等の部位単位での出力を試み、これらについては概ね良好な結果を得られた。一方、それらを配置する際の基盤となる地形等大型のパーツについては年度内に想定した出力が得られなかった。しかしながら、複数回の試行を通じて、大凡の原因の推測に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
建築物等の小型造形物の出力で得られた3-Dプリンタの利用ノウハウを基に、入力用3-Dモデルデータに修正を加え、XR表示に用いる地形等の大型造形物の出力を試みる。また、所属機関が新規導入した高性能MRヘッドマウントディスプレイを用いた可視化結果の提示ができるよう、可視化ソフトウェアおよび関連ライブラリの改良を進める。ソフトウェアや運用ノウハウの行政および民間を含む外部への提供を念頭に、特殊な作業を経ずに誰もがシミュレーションデータや観測データをXR機器に表示するまでの作業を一気通貫で行うことができるよう、研究代表者が開発を進めているデスクトップ用可視化ソフトウェアであるVDVGEに対してデータコンバート機能の追加を検討している。
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Causes of Carryover |
(理由)当初計画では令和元年度設備備品として、3-Dプリンタを導入予定であったが、所属機関にて同型機および消耗品を購入し、これを利用したため当該予算からの支出は無かった。 (使用計画)令和2年度設備備品として、高性能MRヘッドマウントディスプレイ(令和元年度末に所属機関にて導入)に対応したグラフィックスワークステーションを導入する予定である。
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Research Products
(4 results)