2020 Fiscal Year Research-status Report
XR技術による超高解像度都市環境シミュレーションのインタラクティブ可視化
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19K11995
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
川原 慎太郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(情報エンジニアリングプログラム), 副主任研究員 (60415982)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | XR可視化 / バーチャルリアリティ / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で目的とする、高解像度都市暑熱シミュレーションデータの可視化結果のXRデバイスによる表示を実現するにあたり、XRデバイス用アプリケーションの開発に近年広く用いられているゲームエンジン上でデータ可視化を行うためのフレームワークを構築した。本フレームワークは、可視化におけるデータフローの各要素をモジュール化し、それらを適切に接続することによりプログラミングレスでUnity上での可視化アプリケーションの構築を可能とするものである。本フレームワーク自体は構造格子データ全般を対象とした汎用的なものとして開発を進めているものであるが、暑熱シミュレーションモデルの可視化に対応するため、モデルの実行により得られるデータ形式をUnityに読み込むためのデータ入力用モジュールを開発するとともに、読み込んだデータセットからスカラー場およびベクトル場を抽出するフィルタモジュール、抽出したスカラー場およびベクトル場を可視化、描画するためのレンダリングモジュールを開発した。現在、スカラー場に対してはカラースライスと等値面、ベクトル場に対しては矢印表示と流跡線を描画するモジュールをサンプル実装している。本フレームワークを用いて暑熱シミュレーションデータをUnity上で可視化するとともに、表示デバイスとして高性能MRヘッドマウントディスプレイ(Varjo XR-1)を用いた場合に、3-D CGによる可視化結果と実空間映像とのMR表示ができることを確認した。マルチプラットフォームに対応したUnityを用いることにより、スマートフォン上での可視化結果の立体視表示ができることも確認した。本フレームワークの開発については、共同開発者との共著論文の採録、学会誌特集記事の掲載、学会発表の他、本フレームワークを使ったハンズオンセミナーを学会主催イベントにて実施するとともに、githubにてソースコードを公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度に実施したCAVE型バーチャルリアリティ装置用可視化ソフトウェアのヘッドマウントディスプレイへの移植から、令和2年度ではゲームエンジンをベースとした新たな可視化フレームワークの開発へと推進方法を当初計画から大きく転換した。これまでCAVE用ソフトウェアのヘッドマウントディスプレイへの移植に用いてきたC++ライブラリ(CLCL)を新たなXRデバイスに都度対応させるのと比較し、最新のXRデバイスとも親和性が高いゲームエンジンを用いた方が今後の開発効率の向上に寄与する、と判断したことがその大きな理由である。このため、これまでに達成していた、CAVE用可視化ソフトウェアVFIVEによるヘッドマウントディスプレイ表示の段階から一歩後退した形とはなったが、今後の開発効率や、研究期間終了後のソフトウェア資産の再利用を考えるとこの開発方針の変更は妥当な判断であったと考えられるものであり、むしろこの短期間で可視化フレームワークの大枠の開発、および実装したサンプルモジュールによるMRヘッドマウントディスプレイでの可視化結果の提示までが確認できたことは大きな進捗であると考える。一方、当初予定していた3-Dプリンタによる地形等の大型造形物の出力についてはコロナ禍においてリモートワーク主体となったこともあり、大きな進捗は得られなかった。しかしながら、3-Dプリンタで出力した立体造形物と3-D CGによる可視化結果のMR表示を行うことが本研究計画の最終的な目的ではないため、本項については計画の変更も検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
Unity用可視化フレームワークの開発を進め、これを使った都市暑熱シミュレーションデータの可視化を行う。特に、ボリュームレンダリング等の不足している可視化機能を実装したモジュール開発を優先して進める。コロナ禍において、当初最終年度に予定していた都市部(MM21地区)屋外でのMR表示実験については実施が困難となる可能性があるが、所属機関構内での実験に切り替える等、状況に応じて実施計画を柔軟に変更することで対応する。
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Causes of Carryover |
(理由)コロナ禍において、参加予定であった国内外の学会やイベントがオンラインでの開催に変更となった。その一部については参加自体を取り止めたこともあり、当初予定していた旅費および参加費の支出が大幅に減少した。また、本開発に関して共著による論文がオープンアクセス誌に掲載されたが、その費用については筆頭著者が支出したため、当該予算からの支出は無かった。 (利用計画) 令和2年度に購入したグラフィックスワークステーションのグラフィックスボードを、より高性能なものに更新予定である。また、モバイルでの開発に用いるノートPCについても、次年度初頭での購入を予定している。
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Research Products
(8 results)