2021 Fiscal Year Research-status Report
デジタル画像相関法を用いた有限要素解析モデルのデータ同化に関する研究
Project/Area Number |
19K12006
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
秋田 剛 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (20405343)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 逐次データ同化 / カルマンフィルタ / 画像計測 / 損傷同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,従来のひずみゲージなどで取得される少数の計測点を使った有限要素解析モデルの直感的な評価を,デジタル画像相関法(Digital Image Correlation, DIC)による膨大な数の変形計測データを使った有限要素解析モデルのデータ同化による評価に更新し,機械設計の効率化や高度化に寄与することである.当初計画で2021年度は,(1) 曲げを受ける部材を対象にその側面に対するDIC計測を用いて逐次データ同化を行い,損傷同定やパラメータ推定を行う,(2) 変位感度の特異値分解に基づく計測点配置の評価法の検証や画像計測に補助的な計測を加えた場合の逐次データ同化の精度について検証を行う,ことであった.(1)では,逐次データ同化実験のための計測データを取得するために,曲げを受ける部材のDICによる計測実験を行った.曲げを受ける部材では,部材側面の変位を計測するため,引張の場合と比較して部材の撮影領域が大幅に小さくなりカメラや供試体の振動が計測結果に与える影響も大きくなる.今回の計測でも,除振方法やカメラの設置方法などに対して様々な試行錯誤を行ったが,計測結果に混入される振動成分を除去することが困難であった.対策として,変位計測そのものを逐次データ同化の計測量に用いるのではなく,基準点との差分変位を計測量に用いることで,カメラの振動などの部材全体に共通となる振動成分を除去できるのではないかと考え,その適用方法と定式化について検討を継続している.(2)では,部材下部に損傷を有する引張を受ける板材を対象に,損傷を含む部材下半分を計測する場合と損傷を含まない部材上半分を計測する場合で,特異値が大きくなる場合の損傷検知の感度分布を評価した.本結果から損傷部を直接計測できない場合の逐次データ同化結果について定量的な解釈が可能になると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画では2020年度に準備した計測システムを使って直ちに曲げを受ける部材を対象とした逐次データ同化実験を実施し,損傷同定やパラメータ推定において成果を得られると予測していた.ところが計測データを検証すると,想定よりもカメラや供試体の振動が計測結果に与える影響が大きく,外乱の低減が必要であることが判明し,様々な対策を試行錯誤するために大きな時間を要してしまった.特に2021年度は,新型コロナウイルスの感染防止対策に関連した入構制限が実施され,実験に重要な夜間帯での研究室滞在が制限されたため,予定の実験が大幅に遅延してしまった.最終的な対策案として外乱があっても推定可能な逐次データ法について検討を行ったが,従来法に対して定式化やプログラムの更新が必要となるため2021年度中には公表できる成果が得られなかった.また当初計画では曲げを受ける部材に対して,複合センサによる逐次データ同化の高度化に向けた取り組みを行う予定であったが,同様の理由で適切な実験データが取得できなかったため,2021年度では引張を受ける板材を対象にDICのみを考えた特異値分解に基づく計測点配置の評価法を検討した.以上の状況から,1年間の研究期間の延長を申請した.一方で2020年度に行った3次元的な膜面のしわの計測実験に対応して,数値シミュレーションで作成したしわの計測データから膜面の有限要素解析モデルのデータ同化を行う方法について検討を行った.検討結果の一部については,査読付き論文集に投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,曲げを受ける損傷部材を対象として 1. DICによる変位の差分を用いた逐次データ同化実験,2. ひずみゲージとDICを用いた複合センサによる逐次データ同化実験,を行う.1に関して,これまでの研究成果で得られている損傷同定を目的とした有限要素の剛性比をモデルパラメータとした逐次データ同化を行う.この際,DICの撮影領域の中で治具等の実験中に不動となる領域の点を基準点として,DICによる部材計測点と基準点の変位差分を取ることで,外乱の影響を低減した逐次データ同化を行う.視覚的に損傷を確認できる損傷部材と確認できない損傷部材に対して逐次データ同化実験を行い,逐次データ同化による損傷同定の有効性を検証する.2に関しては,DICによる計測データにひずみゲージによる計測データを付加した場合の逐次データ同化法の有効性について検討する.これまでの研究過程で得られている変位感度の特異値分解に基づく計測点配置の評価法を用いて,ひずみゲージの取り付け位置の効果的な設定法について検討を行う. また3次元的なしわを生じる膜面に対して変位計測を用いた逐次データ同化実験を行う.実験は数値シミュレーションで作成した擬似的な変位計測データを用いて行い,3次元問題における変位計測を用いた逐次データ同化の有効性について検討する.
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Causes of Carryover |
2021年度は新型コロナウイルスに関連した入構制限があり,実験計画に遅れが生じた.実験装置の製作に必要な物品購入はほぼ完了しているが,計測データを使った本格的な実験・解析を実施することができず,実験の実施に伴う物品や計算機に関連した消耗品を購入しなかった.2022年度は,実験・解析の実施に必要な物品を購入して,実験・解析を進める.また,国内会議を中心に対面での学会で成果発表を行うための旅費や参加費,学会誌に成果発表するための論文投稿料などについて予算執行する予定である.
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