2019 Fiscal Year Research-status Report
Dynamic coupling simulation technique of buildings and ground for practical design by finite element mesh superposition method
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19K12009
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Research Institution | Wakayama National College of Technology |
Principal Investigator |
山東 篤 和歌山工業高等専門学校, 知能機械工学科, 准教授 (50435442)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 重合メッシュ法 / 動的解析 / 数値積分 / 不整合メッシュ / モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
建築構造物と地盤の動的連成解析法において,特に両者の接触面周辺の効率的なモデリング方法として重合メッシュ法が有望であり,そのモデリング効率および解析精度を調査する.2019年度の達成目標は,「幾何学的処理を用いた高精度数値積分法による重合メッシュ法の質量マトリックス計算プログラムの開発」と「FEMによる参照解と比較したモデリングの優位性,動的特性値の傾向を整理」であった.第1の達成目標は,重合メッシュ法による動的解析を積分精度の誤差の因子を排除して行うために必要である.第2の達成目標は,誤差の可視化やモデリングのガイドライン構築のための数値実験である. 第1の達成目標において,高精度数値積分の完成を確認するため,旧来のガウス積分を基礎とした重合メッシュ法の質量マトリックスの計算プログラムを開発し,その計算結果を用いた重合メッシュ法の動的解析結果が有限要素法の参照解と概ね一致することを確認した.これによって,重合メッシュ法の動的解析の定式化が妥当であること,プログラミングした計算方法が正しいことを確認した.一方で,高精度数値積分法を用いた重合メッシュ法プログラムは開発途中であり,2020年前半までに完成予定である. 第2の達成目標を実施するにあたり,重合メッシュ法の従来のモデリング方法に加えて,2004年に発表したローカルメッシュがグローバルメッシュからはみ出るモデリング方法が本研究において有望ではないかと新たに考えた.そのため,重合メッシュ法における従来のモデリングとはみ出しのモデリング,有限要素法による参照解の3ケースのモデリングについて動的解析の比較検討を行い,その研究成果を2020年開催予定の講演会2件に投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に設定した2つの達成目標のうち,第1の達成目標は半分達成し,第2の達成目標は想定を超える成果があった. 第1の達成目標である「幾何学的処理を用いた高精度数値積分法による重合メッシュ法の質量マトリックス計算プログラムの開発」において,ガウス積分による質量マトリックスの計算プログラムは完成したが,高精度数値積分による質量マトリックスの計算プログラムの開発は完成していない.その理由の一つはプログラミング言語の変更である.これまで開発言語にFortranを用いていたが,重合メッシュ法の固有振動解析では一般固有値問題を解く必要があり,大規模問題を想定したとき充実したソルバーを備えたMatlabの方が望ましいと考えた.そのスキル習得と移植作業の準備に時間を要している. 第2の達成目標である「FEMによる参照解と比較したモデリングの優位性,動的特性値の傾向を整理」において,2004年に発表した研究成果を動的解析に適用することは当初の構想にはなく,それを考案・実施したことは学術的にも新規性があり,想定を超える成果といえる.現在までの数値実験では,当初考えていたモデリングより2004年の研究成果を基にしたモデリングの方が解析精度の面で優位であり,研究課題の主軸の一つに加えることを考えている.以上の数値実験の詳細を,第25回計算工学講演会,2020年度日本建築学会大会(関東)に投稿した.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の実施予定として,まず第1の達成目標のうち未達成である高精度数値積分による質量マトリックスの計算プログラムの開発を行う. 2019年度に実施した研究データの整理の過程で,グローバルメッシュとローカルメッシュの組み合わせによっては剛性マトリックスまたは質量マトリックスが特異となる現象が見られた.その数値的不安定性は当初想定していた通常の重合メッシュモデリングでよく表れ,2004年の研究成果を基にした重合メッシュモデリングでは相対的に出にくい傾向が見られた.モデリングの優位性を検討する続きとして,この数値的不安定性の原因究明と解決方法の模索を予定している.以上の研究成果が揃い次第,査読論文への投稿を行う.査読論文への投稿は2020年度末を目標とする. 2020年度までは検証が容易な簡易モデルを用いるが,2021年度以降は実務設計を想定したより複雑,大規模モデルを用いてこれまでに得られた知見の確認を行う.
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Causes of Carryover |
2019年度中に研究成果の学会発表を行う予定であったが,知見を得るのに十分な解析データを揃えたのが2019年度末となったため学会発表1回分の予算を繰り越しとした. 2020年度に繰り越した前年度予算は学会発表の旅費および参加費で使用する計画であったが,2020年5月時点において,新型コロナウイルスの影響で投稿した2件の学会がいずれも中止となってしまった.そのため,旅費とは別の用途でプログラミング言語のMatlabの購入を考えている.現在Matlabでプログラム作成を行う準備としてフリーソフトのOctaveを使用しているが,最新のMatlabに変更することで開発環境が十分に整備され,速やかなプログラム開発が期待できる.
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