2020 Fiscal Year Research-status Report
Research of calibration free model for asynchronous distributed microphone array
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19K12017
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
糸山 克寿 東京工業大学, 工学院, 特任講師 (60614451)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 音響信号処理 / マイクロホンアレイ / キャリブレーション / 音源定位 / 音源分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,キャリブレーション(マイクロホンやマイクロホンアレイのサンプリング周波数や位置のずれを精密な測定により事前に補正すること)を行わずに非同期分散マイクアレイ(複数のマイクロホンを同期させて用いるデバイスであるマイクロホンアレイに対して,独立した複数のマイクロホンをあたかもマイクロホンアレイであるかのように扱う)に対して音源定位や音源分離などのアレイ信号処理を実現することを目指す.具体的に,令和2年度は以下について取り組んだ. ・非同期複数マイクロホンにより録音された複数音源の混合音を用いて,各マイクロホンのサンプリング周波数のずれとサンプル時刻のずれを推定し同期させる新たな手法を構築した.適切なサンプリング周波数のずれと時刻ずれのもとで同期処理を行うと,同期された信号のスペクトログラムを全チャネルで束ねた行列が低ランク化されるという性質に基づき,緩和されたランク最小化問題を解くことでずれの推定を行う. ・マイクロホンアレイの位置と姿勢,および音源の位置を推定する手法について研究した.既存の推定手法を実装したところ,多くの観測に対して望ましくない局所解に収束してしまい正しい位置や姿勢が推定されない.2つに分かれていた目的関数を見直し,1つの目的関数に統合することで,局所解に陥りにくい手法を構築した. これらの研究は,「センサアレイを構築するために必要な時間的同期やキャリブレーションと等価な前提条件は何か?」という学術的「問い」の解明に向けた第一のステップとしての意義を持つ.これらの手法に基づいて,様々な前提条件がセンサアレイ構築に対して寄与する度合いを調査することで,アレイ信号処理の適用範囲が広がることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度の取り組みとして当初計画していた,前提条件の定量的評価やオンライン化は行えなかったものの,同期ずれ推定の新たな手法(低ランク化)やマイクロホンアレイと音源の位置・姿勢推定手法など,新たな方向性での研究が進展したため,おおむね順調に進捗していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
同期手法や位置・姿勢推定手法の実環境における評価を行う.また,当初は令和2年度に取り組むことを計画していた同期・定位・分離手法の統合についても取り組む.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で旅費が執行できず,また屋外実験等が行えなかったため.次年度に屋外実験用装置等を購入する.
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