2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K12041
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
羽田 陽一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80647496)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 空間発話特性 / 指向特性 / 音響信号処理 / スピーカアレー / 球面調和関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化社会に向けて補聴支援技術はますます重要性を増している一方,昨今のコロナ禍においては,大きな声での会話ははばかられるような状況にある。補聴器に代表される会話支援技術は,主に聞く側の観点からの検討であり,発声側に着眼した研究はこれまで行われてきていない。最近では発話へのマスクの影響を調べた研究速報も見られるが,音響特性上は有意な差異は実はない。一方,本研究課題では,ヒトの声の放射指向特性を動的に把握し,その特性に基づいて音声を空間的に強調,あるいは抑圧する方法を明らかにし,コミュニケーションや遠隔会議での臨場感向上技術の提供を目的として実施されたものである。 本研究課題においては主に,人の発話における音の動的な空間放射特性の測定と可視化ツールの作成を行い,無響室において実際に人の発話放射特性の測定を行った。特に測定装置においては,装置自体の影響を軽減する改良を行い,母音発話の測定,解析を進めた。その結果,人の発話放射特性は,「あ」や「い」といった音韻により顔の前方や上方向への音の広がり方が異なることが分かり,さらに,個人による違いは音韻による違いより小さい可能性があることが分かった。本知見に基づいた発話の放射特性の制御を行う実験は,コロナの影響により実施できなかったため,発話放射特性の模擬に関わる検討をまずは進めることにし,最終年度においては,スピーカアレーを用いた発話の模擬が実際の発話の放射のように人の知覚に影響を与えるかを調査し,2022年3月に開催された日本音響学会にて発表を行った。
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