2019 Fiscal Year Research-status Report
高臨場感音場再現のための波動理論に基づくインパルス応答推定技術の研究
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19K12044
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
古家 賢一 大分大学, 理工学部, 教授 (10643611)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インパルス応答 / 音響モデル / 球面波モデル / 平面波モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
遠隔地の音空間をリアルタイムで立体的・高臨場感に再現する音場再現技術を用いた音場伝送・再現が研究されているが、高精度な音場再現のためには制御スピーカから受聴範囲での音響特性すなわちインパルス応答を事前に測定する必要があるが受聴者の位置に常に測定用マイクロホン配置してインパルス応答を測定することは困難であった。本研究では、受聴者から離れた位置のインパルス応答から受聴範囲でのインパルス応答を高い精度で推定する手法の確立を目的とする。2019年度は,インパルス応答推定のための音場モデルの構築に向け,波動理論に基づき事前情報の表現を理論的検討を行った。本研究では,インパルス応答をシステム理論に基づくシステム入出力関係として捉えるのではなく、音波が物理的には波動方程式を満たす波動関数に基づくものであることに着目し,インパルス応答の直接音成分には球面波モデルを,反射波成分には平面波モデルを適用する新たな音響モデルを提案した。それらを、音空間(音源、受聴者、音場の特性など)に関する事前情報を利用することにより、モデルが簡単化され少ない観測可能インパルス応答データから推定ができる可能性がある。その音響モデルの検証のため鏡像法音場シミュレーションアルゴリズムの実装、実測インパルス応答データベースを用いて実験的検討をおこなった。評価尺度スペクトル距離(SD) と信号対歪比(SDR)で確認した結果,提案法はSDR では従来法より補間精度が劣化したが,SDでは従来法より補間精度が向上したことを確認した。今回の結果から,提案法の音響モデルは従来の音響モデルに比べて離れた位置のインパルス応答を精度よく推定できることが分かった。しかし,サンプリング周波数16kHzの場合は距離5cm以上離れると大幅に精度が劣化することも分かった。今後,推定精度向上のためにより大局的な音響モデルを検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画の音響モデルを実装したが,そのパラメータ推定アルゴリズムが思ったほど精度が出ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在用いている推定アルゴリズムは近接分離最適化アルゴリズムであるが,他の最適化アルゴリズムも検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
実験のためのマルチチャネル音響システムの構築が遅れている。2020年度は,速やかに構築し,実実験を実施する。
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Research Products
(6 results)