2020 Fiscal Year Research-status Report
自己学習型AI技術による外観検査システムの自動設計
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19K12055
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
青木 公也 中京大学, 工学部, 教授 (40324488)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 外観検査 / 自動検査 / 画像検査 / 再学習 / 自動プログラミング / 進化的計算 / 画像処理 / 欠陥検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
検査の信頼性・効率化の観点から,画像処理・AI技術による外観検査の自動化が求められている.しかし,画像処理ロジックや,センサ選定・照明条件は対象に応じた調整・設計等,自動検査装置はハード・ソフト共に検査対象・項目毎に一品一様(ワンオフ開発)になりがちである.さらに企業からは,少量多品種,多種多様な検査項目,検査仕様・基準の変化等へ対応できる汎用性・融通性が求められている.そこで本研究では,AI技術による,検査装置の撮像系(ハード)と画像処理系(ソフト)の自動設計・調整手法を提案し,外観検査装置の開発工数の大幅な削減を目指す. 特に2020年度は,2019年度にその基本原理の提案に至った画像処理系(ソフト)の自動設計について大きく進展した. 提案手法は,外観検査システムに必要な画像処理ソフトをAIによって自動開発する手法である.コアアルゴリズムとしては進化的探索手法を用い,画像処理ソフトの設計を画像処理コマンド,画像特徴計測コマンド,各種パラメータの組み合わせ最適化問題として解く.一般的に,AIは大量の学習データからタスクに必要な情報を蒸留し,モデル化する.従って,先ずはデータの量が必要となる.また,一端学習が完了したAIを流用する転移学習と呼ばれる手法もあるが,別のタスクに対して元の学習モデルがどのうよに,どの程度寄与するのか明確でない.これに対して提案手法では,比較的少量の学習データにおいても,まずは適切なソフトウェアが自動生成され,かつテスト時に誤検出が発生した場合は,誤検出する課題の傾向を分析し,既存のソフトウェアにそれに対応するロジックを追加する.時には,より多くの部分を再編集して統合する機能を有する.つまり,自己学習の機能の一部を有する.提案手法はAI技術における再学習・再利用の課題解決の指針の一つである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では3ヵ年の研究期間において,A~Fの6つの研究開発項目を設定している.当初の計画では,2019年度中に「項目A:撮像系実験装置の構築」「項目B:撮像系の制御ソフトの構築」の,本研究におけるハードウェア部分について完成予定であった.しかし,2019年度末には新型コロナウィルスの影響により,実験機器の納期が大幅に遅れる結果となった.導入は2020年度の上期になり,かつ感染対策のため研究室での実験が制限され,ハードウェア部分については開発が停滞している.以上の点においては,研究の進展はけっして順調ではない.ただし,2020年度冒頭で計画を修正し,本研究計画における「項目D:画像処理系最適化手法の確立」「項目E:自動設計におけるルール自動抽出法の確立」の,主にソフトウェアに関する研究課題について注力し,大きな成果を得ることができた.その点で,全体としては「おおむね順調に進展している」と判断した. 「項目D」「項目E」については,「外観検査画像処理プログラム自動生成における検出失敗時の追探索」と題する学術論文が精密工学会誌に採録された.また,6月には画像センシングシンポジウム(SSII2020)(オンライン開催)においても関連する内容を発表した.また3月には,動的画像処理実利用化ワークショップ(DIA2021)において,「画像処理プログラム自動生成における教師画像自動更新手法の検討」と題して発表した.「項目F:撮像系と画像処理系の連携」はハードウェアも含めた,本研究課題の最終目標であるが,これについても2019年度から2020年度にかけて基礎的な検討は継続しており,業界専門誌「画像ラボ」において,「外観検査システム設計における撮像系と画像処理系の相互最適化」と題して解説記事を寄稿した.
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り,本研究では目的を達成するため,3ヵ年の研究期間において,A~Fの6つの研究開発項目を設定している. 2021年度の当初計画では「項目F:撮像系と画像処理系の連携」を実施することになっていた.つまり,撮像系(ハード)と画像処理系(ソフト)のそれぞれについて研究を達成し,最終年度において統合する計画であった.ただし,前述の通り,撮像系(ハード)面での研究開発が大幅に遅延しており,また,未だ新型コロナウィルスは収束していな状況においては,研究室における装置の開発は制限された状態である.だからと言って,研究全体を停滞させるのでなく,在宅・遠隔での研究が可能な,本研究課題における画像処理系(ソフト)部分に引き続き注力する.2021年度下期において状況が許すことを期待し,その場合は,最終年度の末の時期ではあるが,期間内に撮像系に係る装置の基本的なアセンブルを完了し,コロナ後での実験準備を進める. 多くの研究機関がそうであったように,2020年度,本研究においても,研究協力者とはwebによる遠隔でのコミュニケーションツールによる研究体制を整えた.研究室設置の高速計算機を遠隔で操作することによって,ソフトウェアの実験を進めることができた(AIの学習等).引き続き,遠隔実験・モバイル計算機の活用,オンラインミーティング環境の整備・拡充等を進める.
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Causes of Carryover |
研究補助学生への謝金について,当該学生の年度末の予定が就職準備のため調整困難であり,その残額分を次年度使用とさせていただきました. 次年度の研究補助学生の謝金に組み入れる予定です.
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Research Products
(4 results)