2021 Fiscal Year Research-status Report
形状変化デジタルサイネージ:カタチと動きがもたらす効果の解明
Project/Area Number |
19K12061
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
木下 雄一朗 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (70452133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郷 健太郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50282009)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 形状変化ディスプレイ / 公共ディスプレイ / 目立ちやすさ / 動的アフォーダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、形状変化可能なディスプレイをデジタルサイネージに適用するという新たなアプローチにより、通行者がサイネージの存在を認知できない、存在は認知されていてもインタラクションが起きないといった既存のサイネージにおける問題を解決する。具体的には、ディスプレイ形状を通行者の状況に応じて動的に変化させることで、サイネージの存在への認知向上を図る。 2021年度は、サイネージの前に立ち止まった通行者のインタラクションを促す効果的なデジタルサイネージの動きを解明するため、押し込む、引く、ひねるの3種類のインタラクションに着目し、12名の実験協力者を対象とした形状変化評価実験を実施した。実験では、形状変化速度、形状変化時の可動域、形状変化中の速度変化の3種類のパラメータにより構成される30種類のデジタルサイネージの動きを、モックアップにより実験協力者に提示した。モックアップは、サーボモータによりサイネージの一部分が局所的に形状変化するものである。実験協力者は提示された動きがそれぞれのインタラクションを促していると感じるかを7段階の尺度で評価した。この実験から、押し込む、引く、ひねるの各インタラクションを促す動きで重要な形状変化特性は、それぞれ、速度、速度変化、可動域であることを明らかにした。 さらに、評価値の高い上位6種類の動きをシェフェの一対比較法により再評価した。検証実験として、3種類それぞれのインタラクションについて最も尺度値の高かった動きを、上述の実験協力者とは別の実験協力者に提示し、その動きが促していると感じる操作をさせた。操作状況の観察およびインタビューにより、サイネージの一部分を局所的に動かすことにより、意図したインタラクションをユーザに促すことが概ね可能であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であった「Phase 3: 形状変化を活用したデジタルサイネージの実現」を概ね計画通りに実施した。新型コロナウイルス感染症の影響により、大学内の通路にデジタルサイネージを設置した実験は断念したものの、一部実験方法を変更することで対応した。 また、本課題に関連して、形状変化時のディスプレイの操作特性に関する調査を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度までの研究成果に基づき、サイネージ全体の中・大域的な形状変化と、サイネージ一部分の局所的な形状変化を組み合わせた、サイネージの形状と動きがもたらす総合的な効果について検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、一部実験方法を変更する対応を行なった。また、当初参加を予定していた全ての国内学会、国際会議がオンラインでの実施となり、当初予定していた旅費の使用がなかった。以上の理由により、当該助成金の次年度使用額が生じている。これらの助成金は、本研究の成果発表に係る論文投稿・掲載費用として使用することで有効に活用する。
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