2019 Fiscal Year Research-status Report
Research on reviewing the IT support for barrier free in terms of disaster management
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19K12069
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
村山 優子 津田塾大学, 数学・計算機科学研究所, 研究員 (20264955)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バリアフリー化情報支援 / 災害管理 / 状況把握 / 安心 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,バリアフリー化に向けた情報支援の取組みを緊急事態管理と捉え,災害管理サイクルを適用し,各段階で必要な情報支援内容を示すとともに,災害情報支援技術の適用およびユーザが安心して利用できる情報環境の構築を目指す.具体的には,バリアフリー化情報支援について,(a) 管理サイクルの構築, (b) ユーザの安心モデルの構築,(c) 災害情報支援技術や情報共有サービスの応用を実施する.以上(a)の管理サイクルに,これまでの研究・開発事例を当てはめ,支援が不足している箇所を明らかにし, (b)で構築した安心モデルを(c)の情報支援や情報共有の技術に適用し,安心してユーザが行動できるための情報支援を行う.運用実験により情報取得から意思決定までの速度による安心の評価を行う. 今年度は, 予定通り研究を進めるとともに新たな展開もあった. バリアフリー化管理モデルの構築のため, 国内外の関連研究調査および大学のインクルーシブ支援室の担当者に聞き取り調査を行い, これまでの研究・開発が管理モデルのどの段階に属するかを考察した. その結果, 新たに災害管理でも重要な状況把握(situation awareness)の観点も重要であることが判明した. 状況把握は, 元々, 航空機操縦から発展してきた研究分野である. 当該分野の意思決定モデルでは, 狭義の状況の把握だけではなく, 得られた情報内容の理解や近い将来のリスク予測可能性を網羅しており, ユーザ(障がい者,支援者等の当事者)の安心感の調査にも, 応用できると考えている. 安心感の研究では, 意思決定と結びつけることで, より現実的な情報支援の在り方を考えたい. 今年度は, 安心感の研究に先駆け, プライバシについての調査研究も行った. プライバシは, 今後, バリアフリー化情報支援における安心感の要因にもなると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は, 予定通り研究を進めるとともに新たな展開もあった. 先ず,管理サイクル構築のため, バリアフリー化管理モデルを構築のため, 国内外の関連研究調査および大学のインクルーシブ支援室の担当者に聞き取り調査を行い, これまでの研究・開発が管理モデルのどの段階に属するかを考察した. その結果, 新たに災害管理でも重要な状況把握(situation awareness)の観点から, これらの活動を考えると具体的に管理サイクルに当てはめやすいことが判明した. 状況把握は, 元々, 航空機操縦に関わる研究開発から発展してきた研究分野である. 当該分野の意思決定モデルでは, 狭義の状況の把握だけではなく, 得られた情報内容の意味することの理解や近い将来のリスク予測可能性を網羅しており, バリアフリー化におけるユーザ(障がい者,支援者等の当事者)の安心感の調査にも, 応用できると考えている. 安心感の研究では, これまで, 安心感の要因解明にとどまっていたが, これを意思決定と結びつけることで, より現実的な情報支援の在り方を考えたい. 今年度は, 安心感の研究に先駆け, プライバシについての調査研究も行った. プライバシは, 今後, バリアフリー化情報支援における安心感の要因にもなると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, バリアフリー化におけるユーザの安心感の量的調査を予定通り進める. バリアフリー化におけるユーザ(障がい者,支援者等の当事者)の安心感の調査のための聞取りや関連調査に基づいて量的調査のための質問紙を作成し,事前調査分析を行い,最終的な質問紙を作成する.この質問紙を利用して,Web調査を行い,統計分析により要因を抽出するとともに,要因間の関係を分析し,安心モデルを構築する.本調査のため, このような調査研究に詳しい研究分担者を2020年度より, 新たに加える. 最終的に構築する安心モデルにおいては, 状況把握の意思決定モデルを参考にする. 一方, 2019年度に構築したバリアフリー化支援管理サイクルの内容をさらに掘り下げ, 支援が行き届いていない内容についての情報技術による支援策を検討する. さらに次年度後半からは, 災害時に利用されたシステムの利用をバリアフリー化情報支援への適用の検討を始め, これらのシステムが,どのような需要に利用できるかを模索する.最終年度には, これらのシステムに, 安心モデルに基づく対策の付加を試みる.
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