2022 Fiscal Year Research-status Report
Research on reviewing the IT support for barrier free in terms of disaster management
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19K12069
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
村山 優子 津田塾大学, 数学・計算機科学研究所, 研究員 (20264955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 亜未 法政大学, 理工学部, 助手 (40782347)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バリアフリー化情報支援 / 災害管理 / 状況把握 / 車いす利用における安心 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,バリアフリー化に向けた情報支援の取組みを緊急事態管理と捉え,災害管理サイクルを適用し,各段階で必要な情報支援内容を示すとともに,災害情報支援技術の適用およびユーザが安心して利用できる情報環境の構築を目指す.具体的には,バリアフリー化情報支援について,(a)管理サイクルの構築,(b)ユーザの安心モデルの構築,(c)災害情報支援技術や情報共有サービスの応用を実施する.以上(a)の管理サイクルに,これまでの研究・開発事例を当てはめ,支援が不足している箇所を明らかにし,(b)で構築した安心モデルを(c)の情報支援や情報共有の技術に適用し,安心してユーザが行動できるための情報支援を行う.運用実験により情報取得から意思決定までの速度による安心の評価を行う. 2022年度は,車いす利用者を対象とする意見収集のほか,車いす利用者および利用経験者あるいは介助者等を対象とした車いす利用時のリスクや安心に関わる自由回答形式のユーザ調査を実施した.2023年度は,車いす利用時の安心感に関わる量的質問紙調査を実施予定である.その結果に基づいて,(c)の災害情報支援技術や情報共有サービスへの応用を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は,「(b)ユーザの安心モデルの構築」のための車いす利用の当事者からの意見収集に加え,当事者および利用経験者や介助者等を対象に,自由記述形式のユーザ調査を実施した.この結果の分析に予想以上に時間を費やした.今後,分析結果に基づき,車いす利用時の安心感に関わる量的質問紙調査を行う予定である. 一方,障害学の専門家との意見交換の機会を数回持ち,障がいのある人に関わる安心感の研究は新規性があることを知らされた.また,障害者の声を聞く機会への参加や,情報処理学会アクセシビリティ研究発表会における質疑応答における意見交換を通し,障害のある人への対応は,実は,障害のないとされる人も含む,社会全体の生きやすさに繋がることを学んだ. さらに安心感とともに,車いす利用時のプライバシーについては,2つの観点を認識した.ひとつは,情報提供者のプライバシー,もうひとつは,当事者のプライバシーである.車いす利用者の情報把握のための情報提供では,提供者側のプライバシー感が存在する.情報共有には,障害学で提唱される「私たち抜きに,私たちのことを決めないで(Nothingaboutuswithoutus)」の観点からの意識共有が必要であろう.一方,当事者のプライバシー感については,個人差も大きいことが判明し,対応が一元的とはならない. 「(c)災害情報支援技術や情報共有サービスの応用」については,カメラの映像・画像配信および共有システムおよびバリアフリーマップを,既に構築しているが,上記(b)の安心モデルの調査結果に基づいた新たな機能の検討を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,バリアフリー化におけるユーザ(車いす利用者および利用経験者,支援者等の当事者)対象に,安心感や情報提供の在り方について,自由回答形式の意見収集調査を実施した.2023年度はこの調査結果に基づいて,残りもうひとつの量的調査を行い,車いす利用時の安心モデルを構築する予定である. 最終的に構築する安心モデルにおいては,状況把握の意思決定モデルを参考にする.一方,バリアフリー化支援管理サイクルの内容を掘り下げ,支援が行き届いていない内容についての情報技術による支援策を検討する. さらに,災害時に利用されたシステムの利用をバリアフリー化情報支援への適用の検討を始め,これらのシステムが,どのような需要に利用できるかの検討を進め,これらの技術に,安心モデルに基づく対策の付加を試みる.特に,「(c)災害情報支援技術や情報共有サービスの応用」については,カメラの映像・画像配信および共有システムおよびバリアフリーマップについては,既に構築しているが,安心モデルの調査結果に基づいた新たな機能の検討を行う予定である.
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症拡大が収まらず,予定していた国内外の会議などがすべてオンラインとなり,旅費を使用しなかったことと,さらに調査の準備の遅れにより,次年度使用が生じた. 2023年度の使用計画は,次の通りである.「(b)ユーザの安心モデルの構築」については,2022年度のユーザ調査結果に基づいて,車いす利用時の安心感の量的質問紙調査を実施する.2023年度は,調査に必要な,謝金の費用,調査のための委託料を計上する.「(c)災害情報支援技術や情報共有サービスの応用」については,カメラの映像・画像配信および共有システムおよびバリアフリーマップについては,既に構築しているが,上記(b)の安心モデルの調査結果に基づいた新たな機能の検討を行う.また,システム構築や運用のためのシステム費用や委託料を計上する.さらに,2022年度の経験を踏まえて,引き続きオンラインで開催される見込みの国内外の学会発表をさらに進めるとともに,論文誌への投稿の準備を行う.旅費については,状況により,開催可能と予測される旅費について一部計上する.
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