2019 Fiscal Year Research-status Report
Disparity Modifications and Cognitive Functions in Virtual Reality
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19K12071
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
金 相賢 早稲田大学, 理工学術院, 客員次席研究員(研究院客員講師) (60708840)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 両眼立体視 / HMD / 眼球運動 / 認知特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、没入型HMDシステムにおける立体映像の認知過程に影響を与える視差角を定量化するため、多様な視差情報を持つ刺激を用い、刺激呈示系と生体計測による評価系を併せ持つ実験システムを構築する。 2019年度には、実験システム構築を目指し、刺激呈示に関する基礎的な知見の収集、ならびに実際のシステム構築を通しての刺激作成および評価実験を行ってきた。刺激呈示系としては、まず没入型HMDシステムの表現手法に関する基礎的な知見を得るため、高品質の没入型HMDを対象とし、良質のコンテンツに対して視差角の分析を行い、実験刺激として検討を行っている。特にVRおよびARの特性を持つ複合現実デバイスに着目し、現実空間に投影される仮想物体の視差量を操作することで、現実世界と仮想世界に対する認知過程への影響について調べている。実験参加者の認知過程における心理および生理特性として、視線の停留場所を測定することで視差角と注意に与える影響について関連性を調べることが可能と推測し、複数の眼球運動測定装置を対象に適切性について検討を行っている。なお、今回を実験においてHMDの画角に合わせた視野角の確保が重要な条件となり、高視野角を持つ眼球運動測定装置の購入を進めている。2020年度以降の計画として、構築したシステムを利用して、単純刺激に適用し、注意・長期記憶・選好・方向判断といった認知過程に影響を与える視差情報について定量化していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回を実験においてHMDの画角に合わせた視野角の確保が重要な条件となり、水平95°、垂直63°の視野角を持つ眼球運動測定装置の購入を進めている。測定装置の製造が当初より遅れて2020年6月中旬より順次発売となっている。なお、今回の研究ではHMDの視聴環境を対象に、物理的、心理的、生理的指標を用いて人間工学的評価を行っているが、covid-19の流行によってヒトを対象とする実験が難しくやや遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度以降の計画として、構築したシステムを利用しての、高度化された表現における選好・方向判断評価と、その評価を通して視差情報の呈示手法の確立を目指す。評価方法としては、眼球運動測定、動作計測、脳機能計測、心拍計測といった生体計測と、主観評価による手法を組み合わせた手法を検討する。静止画・動画など複雑な要因を持つコンテンツに対して、視差量の操作による選好・方向判断への影響を評価する。それと同時に、視差情報の定量化によって刺激呈示系へのフィードバックの可能性を検討する。表現の高度化には2D/3D変換技術を用い、両眼立体情報のデプスマップを作成し、素材の2D映像と合わせて画像処理することで、左右の映像を作成する。デプスマップでは左右画像のズレ量を元に、奥行き情報を256階調のグレースケールで表し、非交差性視差の最大値を黒、交差性視差の最大値を白で表す。一方、任意の一部分のみに交差性の両眼視差を与えて変換することで、当該部分のみ浮き出ているように知覚させることもできる。立体映像内の適度な交差性の視差を持つ部分に視線が集中するといった視知覚特性を考慮し、交差性視差を与えた部分への視線や注意の集中することで選好判断に影響を与え、画面を傾斜させることによって右左折判断において傾斜方向を選択しやすい傾向が表れることが期待される。
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