2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K12087
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
石井 千春 法政大学, 理工学部, 教授 (80296079)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 触診システム / 手術支援ロボット / 腹腔鏡下手術 / 力覚提示 / 触覚提示 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、手術支援ロボットが臨床で使用されている。しかしながら現在最も普及している手術支援ロボットda Vinciには触覚の感知・フィードバック機能が無く、また開発過程にある触覚のフィードバックが可能な手術支援ロボットにおいても触覚フィードバックの精度は明確にされていない。そこで本研究では、これまでに開発した単孔式腹腔鏡下手術支援ロボットHASROSSに6軸力覚センサーを設置して触覚をフィードバックすることにより、操作者が力触覚の違いを感知できる弁別閾を心理物理学的測定法により定量的に求め、腹腔鏡下手術支援ロボットを用いた触診により、がん細胞と正常な細胞を識別可能であることを明確にすることを目的とする。昨年度は、実際の医療現場で使用するトロカールという医療器具を装着し、ニューラルネットワークを用いてトロカールが鉗子に及ぼす影響を抑制し、力触覚フィードバックが可能なロボット触診システムを開発して、模擬試料を触診して模擬試料中の模擬腫瘍の位置を判定する実験を行った。実験条件として、①視覚と力覚による位置判定、②視覚と触覚による位置判定、③視覚・力覚・触覚による位置判定の3種類で比較を行い、③視覚・力覚・触覚の条件が最も効果が高い提示方法であるという結果が得られた。しかしながら、昨年度の実験では、鉗子による触診の方向は縦方向のみが可能であった。そこで本年度は、横方向の触診も可能となるようにロボット触診システムを改造し、ニューラルネットワークを用いて横方向の触診においてもトロカールが鉗子に及ぼす影響を抑制し、触診により模擬試料中の模擬腫瘍の位置を判定する実験を行った。昨年度と同様に3種類の力触覚提示で比較を行い、横方向においても縦方向と同様に、③視覚・力覚・触覚の条件が最も効果が高い提示方法であるという結果が得られた。得られた結果は第30回日本コンピュータ外科学会大会で公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度において、縦方向と横方向それぞれにおいて触診にトロカールを使用した際に、トロカールが鉗子に及ぼす影響をニューラルネットワークに学習させ、トロカールが鉗子に及ぼす影響を抑制した状態において、異なる位置に模擬腫瘍を埋め込んだ4種類の模擬試料に対して腫瘍の位置を判定する実験を行い、模擬腫瘍の位置を誤差1 mm程度で識別できることが検証できた。しかしながら、コロナ禍の影響により、縦方向と横方向を組み合わせた触診、および斜め方向の触診の学習データが十分に収集できず、ディープニューラルネットワークの実装が間に合わなかったため、補助事業期間を延長した。これより、やや遅れていると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、縦方向と横方向それぞれ独立に、ニューラルネットワークを用いてトロカールが鉗子に及ぼす影響を抑制し、力触覚フィードバック可能なロボット触診システムを開発して、その有用性を検証した。しかしながら、縦方向と横方向を組み合わせた触診、および斜め方向の触診には対応していないため、最終年度である2022年度は、これらの方向における触診の学習データを収集し、ディープニューラルネットワークに学習させてトロカールが鉗子に及ぼす影響を抑制する。学習させたディープニューラルネットワークを用いてトロカールが鉗子に及ぼす影響を抑制し、複数の被験者に模擬試料を触診して模擬試料中の模擬腫瘍の位置を判定する実験を行ってもらい、力触覚の違いを感知できる弁別閾を明らかにし、がん細胞と正常な細胞を識別可能であることを実証する。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により研究の進捗が停滞し、予定していた国際会議や国内の学会出張を行うことができず、旅費が執行できずに次年度使用額が生じた。2022年度に学会発表を行う予定であるので、その登録費に使用する。
|
Research Products
(10 results)