2022 Fiscal Year Annual Research Report
航空機の非定常現象発生メカニズム解明のための位相的データ解析
Project/Area Number |
19K12095
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
千葉 一永 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (50450705)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パーシステントホモロジー / 非定常空気力学 / 航空機遷音速バフェット / 時間的発生起点 |
Outline of Annual Research Achievements |
航空機の安全性の劇的な向上に対する自然現象に起因するボトルネックは,非定常な物理現象である.民間航空機の就航以来多様に研究されてきたが,これらの飛行データはカオス的で解析が困難なため,現象のメカニズムは未解明で,現在も重大事故を誘引している. 本研究では,カオス的/非カオス的によらず多次元データ構造のパターンを発見する,非定常データセットのための位相的データ解析法を開発し,実機飛行データに応用した.航空機の空力分野で長い間問題となっている遷音速バフェットを解析対象とした.具体的には,OAT15A超臨界翼の遷音速バフェット強度をパーシステントホモロジーにより定量化し,検出可能か精査した.航空機設計で重要な非定常現象である遷音速バフェットは,通常,表面積または体積の積分値で定量化される.しかし,この方法では,現象の時間的な起源や空間的な発生を明らかにできず,その発生メカニズムはまだ不明である.また,この診断法を実機に適用することは困難である.そこで,ホモロジーを利用し,Navier-Stokes方程式が扱う物理量を数学空間で間接的に扱うことで,遷音速バフェット強度を定量化することを試みた.その結果,衝撃波通過領域内の翼面上の任意の測定点のデータから,バフェット検出が可能となった.圧力係数と主流方向速度変化の2つの物理量から,いずれもバフェットを検出できた.しかし,主流方向速度変化はバフェット強度に顕著な差を示し,より使い勝手のよい指標であった.本手法の適用により,現在の航空機が取得している翼表面センサデータから,リアルタイムで遷音速バフェットを識別できることが示唆された.
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