2019 Fiscal Year Research-status Report
語順整序との同時実行に基づく読みにくい文の整形処理
Project/Area Number |
19K12127
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
大野 誠寛 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (20402472)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 言語生成 / 整形処理 / 言い換え / 構文解析 / 係り受け解析 / 話し言葉処理 / 語順整序 / 読点挿入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、議事録や科学技術論文、製品マニュアル、ビジネスメール等における作文支援技術として、話し言葉や即興で生成された書き言葉に頻出する読みにくい文を読みやすく整形する手法を開発する。令和元年度は以下の5項目を実施した。 (1)従来の語順整序手法に対してニューラル言語モデルを組み込むことにより、従来手法よりも高精度な語順整序手法の開発を推進した。本手法の特徴は、ニューラル言語モデルと、従来モデルとを統合した点にあり、語順整序実験の結果、本手法の有効性を確認した。本成果はIPSJ82全国大会にて学生奨励賞および大会奨励賞を受賞した。 (2)読みにくい語順をもった日本語文に対して、係り受け解析、語順整序、読点挿入を同時実行する手法の開発を推進した。本手法は、係り受け構造が付与されていない文を入力とし、係り受け解析、語順整序、読点挿入を同時に行う。評価実験の結果、本手法の実現可能性を確認した。 (3)話し言葉を読みやすい字幕に整形するための要素技術として、ニューラルネットワークを用いた日本語講演テキストへの改行挿入手法の開発に取り組んだ。改行挿入実験の結果、本手法の有効性を確認した。 (4)読みやすい文への整形を実現するための基盤技術として、話し言葉の係り受け解析の開発に取り組んだ。具体的には、漸進的係り受け解析において未入力文節との構文的関係を同定する手法の開発を推進した。 (5)講演テキストへの改行挿入や話し言葉の係り受け解析に関連した研究として、文節が入力されるごとに残存文長を推定する機構の開発を推進した。具体的には、ニューラル言語モデルに基づいて残存文長を推定する手法を提案し、評価実験の結果、提案手法の有効性を確認した。本成果はFIT2019 奨励賞やIPSJ82全国大会 学生奨励賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に従って、従来の語順整序手法にニューラル言語モデルを組み込んだ手法の開発に着手し、一定の成果を得ることができた。また、次年度に予定していた、読点挿入・語順整序・係り受け解析を同時実行するアルゴリズムの開発に前倒して取り組み、その実装及び評価実験まで実施した。 その他、本研究課題の関連研究として、ニューラルネットワークを用いた日本語講演テキストへの改行挿入手法や、残存文長の推定手法の開発、漸進的係り受け解析に関する研究を推進した。 なお、研究実施計画では、話し言葉や即興で生成した書き言葉と、それらを人手で読みやすく整形した文のペアの収集を予定していたが、その収集方法や代替方法を再度検討することとし、今年度は前述の各種手法の開発を優先して実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に従って、引き続き、語順整序手法にニューラル言語モデルを組み込んだ手法や、読点挿入・語順整序・係り受け解析を同時実行する手法の開発を推進し、実験結果の分析や、それに基づく性能向上に取り組む予定である。 その他、本研究課題の関連研究として、引き続き、ニューラルネットワークを用いた日本語講演テキストへの改行挿入手法や、漸進的係り受け解析に関する研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
理由:研究実施計画では、話し言葉や即興で生成した書き言葉と、それらを人手で読みやすく整形した文のペアの収集を予定していたが、その収集方法や代替方法を再度検討することとし、今年度は各種手法の開発を優先して実施したため、これらの収集のための費用が未執行となった。また、新型コロナウィルス感染症拡大のため、年度末に予定していた学会発表がオンライン開催となり、それに係る旅費が未執行となった。 使用計画:話し言葉や即興で生成した書き言葉と、それらを人手で読みやすく整形した文のペアの収集については引き続き検討しつつ、開発中の各種手法の評価用・学習用データの増築や成果発表等に使用する予定である。
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Research Products
(8 results)