2020 Fiscal Year Research-status Report
スパースモデリングとベイズ決定理論に基づいた因果推論手法の構築
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19K12128
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
堀井 俊佑 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 准教授 (00552150)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 統計的因果推論 / ベイズ決定理論 / スパースモデリング / 構造的因果モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,統計的因果分析における因果効果の推定問題をスパースモデリング・ベイズ統計学・決定理論に基づいてモデル化し,ベイズ最適な決定法,及び効率的な近似アルゴリズムの構築と解析を行うことであった.統計的因果分析は,データ分析から得られた知見を使い,何らかの行動をした場合の結果を統計的に分析する学問であり,疫学・社会科学・政治経済学など幅広い応用を持ち,注目を浴びている. 2019年度は,平均介入効果とよばれる量を推定の対象とし,二乗誤差損失を評価基準とした場合のベイズ最適な推定量を導出した.この推定量はサンプルサイズが小さい場合でも平均的に推定精度が良いことを示した.本研究の独創的な点は,一般的に介入効果を推定する場合,まず変数間の関係性を表す因果ダイアグラムを推定し,推定された因果ダイアグラムのもとで介入効果を推定するという二段階のアプローチが取られるのに対し,本研究で提案した推定法は,各因果ダイアグラムのもとで推定した介入効果の推定量を,因果ダイアグラムの事後確率で重み付けるという点である. 2019年度に構築した最適なアルゴリズムは,変数の数が多くなると,候補となる因果ダイアグラムの数が指数的に増加するため,計算量的に計算が困難になるという問題があった.この問題を解決するために,ベイズ的スパースモデリングの知見を活用し,変分ベイズ法に基づく効率的近似アルゴリズムを構築し,その有効性を実験により検証した.特に実データを用いた実験により,提案手法が幅広いデータに対して従来の推定法よりも良い推定精度を示すことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定では,2019年度にベイズ的スパースモデリングについて,文献調査や手法構築を行い,2020年度にその結果を本研究に応用する予定であった.この点について,計画通り研究を遂行し,学会発表により成果を公表できている.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度,2020年度で行った研究では,データの生成メカニズムに対してパラメトリックな確率モデルを仮定した上で理論を構築した.パラメトリックな確率モデルを仮定するというのは場合によっては非常に強い仮定であり,仮定の妥当性が疑問視されることも少なくない.そこで,2021年度は2019年度に行った研究をノンパラメトリックモデルに拡張し,ベイズ最適な推定量を構築する予定である.
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Causes of Carryover |
主に学会参加のための旅費等に利用する予定であったが,COVID-19の影響で全ての学会がオンライン開催となり,旅費として使用しなかったことによる.次年度の出張旅費として使用する予定である.
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