2019 Fiscal Year Research-status Report
進化計算による最適化問題セットのサイマルテニアス最適化
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19K12135
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
佐藤 寛之 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (60550978)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 最適化 / 進化計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の最適化問題を同時に最適化するための進化計算の方法論を構築することを目的とし,研究基盤になるベンチマーク問題とアルゴリズムの評価尺度を構築し,既存のアルゴリズムの最適化性能を比較検証した.既存のサイマルテニアス最適化のベンチマーク問題は,問題間の関係性が不明確であり,また,問題数のスケーラビリティが欠如していた.問題間の関係性が不明確だと,その関係を利用して最適化しようとするアルゴリズムの設計と妥当性検証が困難になる.また,問題数のスケーラビリティが欠如すると,最適化アルゴリズムがいくつまでの最適化問題にどこまで対応できるかわからない.これに対して,令和元年度は,サイマルテニアス最適化のベンチマーク問題として,多因子距離最小化問題を構築した.この問題は,問題間の関係性を明確にするため,最適化問題の解空間における最適解の位置を任意に設定可能にした.問題間の関係性を強めるためには,最適解の位置を近づける.問題間の関係性を弱めるためには,最適解の位置を遠ざける.また,問題数のスケーラビリティを導入するため,問題数を任意に設定できるようにした.さらに,最適化アルゴリズムの設計と妥当性検証を容易にするため,最適化問題の解空間における最適化の過程を視覚化して追跡可能な問題に設計した.代表的なサイマルテニアス最適化の進化計算アルゴリズムであるMFEA,MFDE,MFPSOについて,問題の関係性と数を変化させた多因子距離最小化問題における性能を検証した.その結果,およそ10目的問題までは,MFDEの性能が良いが,それ以上の目的数では,すべてのアルゴリズムの最適化性能が悪化することがわかった.また,特にMFPSOは,問題の関係性の強さによって,最適化性能が変化することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,本研究の開始時に「研究項目1:設計変数の類似度計測と探索シナジー創出法」に取り組む予定だったが,利用しようとしていた既存のベンチマーク最適化問題の類似度が不明でだったため,類似度を定量的に表現可能なベンチマーク問題の構築と最適化アルゴリズムの評価尺度の構築から取り組んだ.その結果として,多因子最小化問題とその評価尺度を構築した.これにより,問題の類似度を明らかにできた.これは予定しなかった研究項目だったが,本研究の遂行のためには不可欠であり,関連研究に対する貢献効果もあると考えられ,学術的にも意義ある取り組みだったと考えられる.また,これをもとに,これまでのベンチマーク問題では困難だった3目的以上の場合の,サイマルテニアス最適化における最適化問題の担当分担法を実装,効果を検証できたため,「研究項目1」は実施できたと考えられる.「研究項目2:探索アルゴリズム群の自己・他己調整法」については,現在取り組んでいるところであり,計画に対して,進度はやや遅れているが,研究に必要なステップを確実に進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に変更はなく,計画通り,「研究項目2:探索アルゴリズム群の自己・他己調整法」と「研究項目3:探索計算資源の配分法」に取り組む.令和元年度の取り組みの中で,研究項目2と3は関連性が高いことがわかってきたため,研究項目2に取り組む際に,最終的に研究項目3で構築する方法と親和性の高い方法を構築することを計画している.
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