2019 Fiscal Year Research-status Report
進化計算最適化法を用いた様々なシステムを対象とする手軽な分岐点導出法の提案と応用
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19K12138
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松下 春奈 香川大学, 創造工学部, 講師 (00604539)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分岐点探索 / Border-Collision分岐 / Piecewise smooth system / 粒子群最適化法(PSO) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、進化計算最適化法による、手軽かつ高精度な分岐解析手法の提案を目的としている。これまでに提案した粒子群最適化(PSO)による分岐探索手法は、滑らかな系への適用例しかなかった。一方で、多くの実社会のダイナミクスや現象は、通常、複数のシステムパラメータと非線形的な挙動を持つ区分的に滑らかな力学系(Piecewise smooth system)としてモデル化することができる。力学系において、パラメータが変化したときにおける振る舞いの急激な変化を分岐と呼ぶが、Piecewise smooth systemにおいて最も顕著な分岐に、Border-collision分岐(BC分岐)がある。しかしながら、既存の分岐点検出法の多くはニュートン法に基づいているが、Piecewise smooth systemでは状態変数のある領域によって挙動が急激に変化するため、ニュートン法ではBC分岐パラメータの検出に失敗することがある。 今年度は、PSOに基づくBC分岐パラメータの検出手法を提案した。提案手法は、互いに依存する2つの目的関数からなる、単一のPSOで構成されている。また、第2の目的関数に単純な追加条件を与えることで、目的周期でない分岐パラメータを排除することを可能とした。 本手法を2つのPiecewise smooth systemに対する適用した結果、両系とも複雑な処理を行うことなく、目的周期のBC分岐パラメータを正しく検出できることを確認した。本手法はBC分岐パラメータを検出するための強力で汎用性の高い手法である。また、我々の知る限りでは、本手法は、Piecewise smooth systemのBC分岐パラメータを直接検出できる初のPSOベースの分岐解析である。本研究は学術論文としてまとめられ、Applied Soft Computingに掲載されることが決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目で行う予定であった、局所分岐点探索、および、連続力学系への応用をクリアし、当初2年目で行う予定であった合成力学系への適用もすでに終えている。特に、合成力学系への適用は斬新かつ画期的である。また、学術論文としての掲載も決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題として、引力圏に依存する分岐点の偏り解消、分岐曲線の追跡、探索時間の短縮、最適化手法の改善などがある。これら一つ一つを並列的に解決していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で参加予定学会がオンライン開催になった。また、掲載料が無料である雑誌へ投稿した。
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