2020 Fiscal Year Research-status Report
四元数に拡張された量子ビットニューラルネットワークの構築と信号処理への応用
Project/Area Number |
19K12141
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
礒川 悌次郎 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (70336832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 伸之 兵庫県立大学, 工学研究科, 特任教授 (10173783)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 複素ニューラルネットワーク / 四元数 / 量子ビット / 量子ビットニューロンモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究申請は,量子情報処理に基づくニューラルネットワーク(NN)モデルを構築し,その基本性能の解析と工学応用の展開を目的としたものである.そのために達成すべき課題は,(1) 四元数化された量子ビットニューロンモデルおよびその階層型ネットワークの構築, (2) 量子ビットNN における階層型以外の構造を持つネットワーク構成の検討,ならびに (3) 量子ビットNN による信号処理システムへの応用・評価,の三点である.令和二年度においては,主に課題(1)に関して研究を行うとともに,課題(2)についても検討を行った. (1)の成果として,四元数による量子ビット階層型NNの定量的性能評価を行うとともに,ニューロンの内部状態における状態更新方法について検討を行った.性能評価としては,三次元ローレンツ方程式の時系列予測を用いた.四元数型量子ビットNN(QQNN),従来の量子ビットNN(QNN),および実数型のNN(RNN)について,同程度の複雑さとなるようにNN構造を決定し,性能比較を行った.予測精度の点からは,精度が良い順にQQNN,QNN,NNとなり,QQNNの有効性を明らかにした.この成果の一部は国際会議IJCNN2020にて発表を行った.また課題(2)に関しては,四元数型量子ビットニューロンを用いてHopfield型の相互結合ネットワークを構成し,その安定性を実験的に確認している. さらに関連研究として,四元数に基づく畳み込みNNのモデル構成を行った上で画像識別問題および回帰問題に対して性能評価を行い国際会議IJCNN2020での発表を行った.また,量子計算を実現するための力学系についての検討を行い,国際会議SICE2020およびにて発表を行った.課題(2)に関連して,超複素数に基づくHopfield型NNのモデル構成を行った結果をIEEJおよびISCIEにて論文公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究申請の最も重要である点が,従来複素数にて記述していた量子ビットニューロンモデルならびにネットワークモデルを四元数表現・四元数演算に拡張することならびにその性能評価を行うということであり,これらは令和元年度および令和二年度において概ね達成されている.理論・性能の両面に対するさらなる解析を行い,信号処理応用に適用していくこと,またこれらの成果を公表をしていくことが重要であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
令和二年度において,課題(2)として挙げた四元数量子ビットニューラルネットワークについては,相互結合型のネットワークを構築し,実験的にその安定性を確認した.これまでの超複素数に基づくHopfield型NNの解析も参考としながら,このネットワークの理論的な安定条件を導出することを目標とする.また課題(3)については,機械設備における故障検知問題や生物個体認証などに四元数階層型量子ビットニューラルネットワークを適用していくことを検討している. 研究申請を行う際には検討できていなかったが,課題(2)に関連して量子リザバー計算などの他の量子計算モデルについても量子ビットニューロンモデルにて構成可能かどうかを引き続き検討してゆきたい. また,計算モデル上の実装だけではなく実際のデバイスにて本研究にて開発している量子ビットを実装できるかどうかについても,本研究課題での関連研究とあわせて検討を行いたい.
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