2019 Fiscal Year Research-status Report
進化学習システムに基づく適応学習型最適化法開発と再構成可能デバイス応用
Project/Area Number |
19K12152
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小圷 成一 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (70241940)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ソフトコンピューティング / ニューラルネットワーク / 進化計算 / 最適化 / 再構成可能デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
再構成可能デバイスは,AIの基盤技術であるニューラルネットワークにおいて,その応用範囲の拡大や高速処理化の要求に対応するためのハードウェア実装法として,注目されている。本研究は,ニューラルネットワークの再構成可能デバイスへのハードウェア実装問題のように,解の品質と求解の高速性が要求される問題に対応するために,目的関数の景観の曲面構造に基づいて解の探索過程を自律的・適応的に調整する適応学習型最適化法の開発を目的とする。開発する最適化手法は,進化型計算法を元にして,これに解の探索過程そのものを遺伝子情報として付加し,さらに,目的関数の景観の曲面構造の特徴に応じて探索過程を適応的に最適化する機能を付加する。開発する最適化手法により,高品質の解を効率的に求めることが期待できる。 本年度は具体的には次の点に関して検討した。(1)進化型計算法に目的関数の景観の曲面構造を遺伝情報として蓄積する機能を加えることにより,探索過程を自律的・適応的に最適化する適応学習型最適化手法を構築した。(2)開発手法を実現する具体的なアルゴリズムを構築する。特に,目的関数の景観の曲面構造の情報を収集する手法,これを遺伝子にコード化する方法,およびこの遺伝情報を効率的に受け継ぐための交叉法を検討した。(3)開発手法を最適化問題の基礎的なベンチマーク問題に応用し,有効性を検証した。 次年度以降は具体的には次の点に関して検討する。(1)本年度に得られた実験結果に基づいて,生物の免疫系にみられるランダム的な遺伝子組み換え交叉法の導入による開発手法の改良を検討する。(2)開発手法をニューラルネットワークの再構成可能デバイスへのハードウェア実装問題に応用し,有効性を検証する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は本研究の準備段階として,開発する適応学習型最適化法に対する基礎的研究,および開発手法を実現するためのアルゴリズム開発,シミュレーション実験システム構築,および開発手法の基礎的性能評価を行った。 基礎的研究は,以下の3段階により適応学習型最適化法に対する基礎的研究を進めた。(1)これまでの研究で開発を進めてきた進化型計算法に,目的関数曲面の特徴に関する情報を遺伝情報として蓄積する機能を加えるための手法を検討し,その理論的解析を行った。(2)与えられた問題の性質に応じて探索過程を適応的に最適化する方法を検討し,その理論的解析を行った。(3)以上の機能を組み合わせることで適応学習型最適化法を構築し,その理論的解析を行った。 アルゴリズム開発では,以下の5段階により適応学習型最適化法を実現するためのアルゴリズムの開発,シミュレーション実験システムの構築,および開発した適応学習型最適化法の基礎的性能評価を行った。(1)目的関数の景観の曲面構造を効率的に遺伝子にコード化する方法を検討し,そのアルゴリズムを構築した。(2)蓄積された情報の有用性に応じて必要な情報を適応的に取捨選択するための交叉法を検討し,そのアルゴリズムを構築した。(3)上述のアルゴリズムを組み合わせて,適応学習型最適化法のアルゴリズムを構築した。(4)構築したアルゴリズムに基づき,適応学習型最適化法を計算機上で実行できるような,シミュレーション実験システムを開発した。(5)適応学習型最適化法のシミュレーション実験システムを利用して,比較的単純な問題において,開発した適応学習型最適化法の基礎的な性能評価を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は本研究の本格的な実問題への応用・展開段階として,生物の免疫系にみられるランダム的な遺伝子組み換え交叉法の導入による開発手法の改良を行い,実問題への応用例として,ニューラルネットワークの再構成可能デバイスへのハードウェア実装問題に取り組む。 開発手法の改良では,以下の4段階により適応学習型最適化法の改良を試みる。(1)生物の免疫系でみられるランダム的な遺伝子組み換え交叉法を導入する方法を検討し,その理論的解析を行う。(2)ランダム的な遺伝子組み換え交叉法の具体的なアルゴリズムを構築する。(3)開発アルゴリズムを適応学習型最適化法のシミュレーション実験システムに導入する。(4)シミュレーション実験システムを利用して,比較的単純な問題である二次割当問題,巡回セールスマン問題等のベンチマーク問題において,アルゴリズムの改良の効果を検証する。ランダム的な遺伝子組み換え交叉法の効果として期待される探索領域の拡大および解集団内の遺伝的多様性の維持により,開発手法の解の品質面での性能向上をはかる。 実データへの応用では,以下の2段階により適応学習型最適化法をニューラルネットワークの再構成可能デバイスへのハードウェア実装問題に応用し,その有効性を検証する。(1)開発手法をニューラルネットワークの再構成可能デバイスへのハードウェア実装問題に応用して,従来手法による結果と比較し,優位性を検証する。(2)目的関数にハードウェアリソース最小化に加えて高速動作化・低消費電力化に関する項の導入し,より実際的なニューラルネットワークの再構成可能デバイスへのハードウェア実装問題における開発手法の有効性を検証する。
|
Causes of Carryover |
物品費の一部が支払われなかったため。次年度に他の物品費を合算して使用する。
|
Research Products
(12 results)