2021 Fiscal Year Research-status Report
スペクトル分解のためのFPGAを用いた確率的サンプリングマシンの開発
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19K12154
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
庄野 逸 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (50263231)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スペクトル分解 / X線分子分光法 / MCMC |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はスペクトル分解を中心とした材料画像処理に関するアルゴリズム開発を行った.X線分子分光法(X-ray Photo-electron Spectoroscopy:XPS)は,試料の組成解析に用いられる.スペクトルは観測試料の組成に基づいて,原子の結合エネルギーを観測するものであるが,観測過程において雑音要素が重畳されなまされる上,複数の結合エネルギー帯の重ね合わせによって表現されると考えられている.本研究では,スペクトルの生成過程をモデル化し,一つ一つのピークを分解・パラメータ化し,そのパラメータ群の推定をマルコフチェーンモンテカルロ(MCMC)法や遺伝的アルゴリズムによる実装を行った.その上で観測資料間のピークのズレを観測雑音由来のものと捉えて,推定パラメータがどの程度頑健なものかを議論している. XPSによる観測では,同一試料を用いた場合でも観測試料のピーク等にズレが生じる場合がある.ここではこのズレが観測過程に依存するものとして捉え,上記のパラメータ群に観測揺動要素を導入することで表現し,複数のスペクトル解析における蓋然性の高いパラメータ推定の方法を提案している.この結果,複数人からの観測を統一的に扱うための枠組みを構築することが出来るようになりつつある.また本手法を,対象試料に混入されたコンタミのような組成由来の雑音の推定にも応用を展開しており,未知成分のピークをモデル内に導入することで対応している.未知成分を導入したケースでは,より現実的なXPSスペクトル解析を考えることが可能になると期待している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル的な要素をブラッシュアップし,XPSデータを取り扱ったスペクトル分解に踏み込むこみ,より有用なアルゴリズム開発につなぐことができているため.
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Strategy for Future Research Activity |
エッジデバイスの重要性は今後ましていくことが考えられるため,数理アルゴリズムを改善しつつ,エッジデバイスの特性に合わせた開発を行っていくことを考える
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Causes of Carryover |
年度をまたいだ投稿論文の出版費用を賄うために残額が生じている.
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