2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of design components on KANSEI impression of clothing based on real cloths and images for various users
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19K12179
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
阿山 みよし 宇都宮大学, オプティクス教育研究センター, 特任教授 (30251078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 美恵 宇都宮大学, 工学部, 教授 (00344903)
奥田 紫乃 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (60352035)
柳田 佳子 文化学園大学, 服装学部, 教授 (60409323)
石川 智治 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (90343186)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ファッションコーディネート / きちんと感 / こなれ感 / 好ましさ / デザイン要素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、上衣・下衣組み合せの「きちんと感」「こなれ感」「好ましさ」評価に注目し、ファッションコーディネートで重要なこれらの印象評価に、どの要素がどのように影響するのかを、実物衣服群と衣服画像群の印象評価実験に基づいて明らかにすることを目的とする。4つのデザイン要素[ 1)丈バランス、2)シルエット、3)布地質感、4)対比印象]を変えた多数の刺激群を製作し、年齢や専門の異なる被験者群で主観評価実験を行い、デザイン要素の影響、実物と画像に対する印象評価および多様な被験者群での共通点と相違点を分析する。 今年度は、丈バランスとシルエットに注目し、実物大の衣服18種を製作した。上衣は、ウエストイン(上衣丈:ウエスト位置)、オーバーブラウス丈(上衣丈:腰位置)、チュニック丈(上衣丈:大腿部位置)の3種、シルエットは文化式原型を「基本」とし、それより狭い「スリム」と広い「ゆったり」の3種を設定し、それらの組み合わせで9種類、さらにストレートとワイドの2種のパンツを下衣として組み合わせた全18種の上衣・下衣組み合せを製作した。これらの上衣と下衣の組み合わせをマネキンに着用させて評価実験を実施した。評価者は若年者(主に工学部女子学生)と中高年者の2群で、全員女性である。その結果、「きちんと感」には丈バランスが大きく影響すること、「こなれ感」にはシルエットの影響があることが明らかとなった。今回の評価実験では、若年者と中高年者の評価に系統的な相違はなかった。 また、デザイン要素の1つである対比印象についてミニチュア衣服での評価実験を行い、成果を国内学会および国際学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度実施した実物衣服での評価実験では、丈バランスは上衣がウエストイン、オーバーブラウス丈、チュニック丈の3種、シルエットは上衣身幅がスリム、基本、ゆったりの3種の組み合わせで9種類、さらにそれらにストレートとワイドの2種のパンツを下衣として組み合わせた全18種の上衣・下衣組み合せを実物大で製作した。これらを着用させたマネキンを並置し、評価実験を行った。評価語には「きちんとした」「こなれた」「好ましい」の3つを用い、0(全くそうでない)~6(非常にそうである)の7段階で評価を行わせた。また、実験と同時にファッション関心度に関するアンケートも行った。被験者は若年者22名(19~23歳の女子大学生)と中高年者(33~65歳の女性教職員)18名の計40名で行った。 その結果、「きちんと感」は上衣スリム・下衣ストレートパンツおよび上衣基本・下衣ストレートパンツの組み合わせで最も高い評価となった。「こなれ感」は、上衣基本・下衣ワイドパンツおよび上衣基ゆったり・下衣ワイドパンツの組み合わせで最も高い評価となった。両者の評価共に身幅に関わらず上衣の丈が長くなるにつれて評価点が低下し「きちんと感」「こなれ感」には丈バランスが影響することがわかった。また「きちんと感」は細身の下衣、「こなれ感」はゆとりある下衣で高評価となったことから、各々の評価にシルエットも影響していることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
R1年度の結果から、「こなれ感」にはブラウジングの影響がある可能性が示唆されたので、今年度は、新たに上衣を製作し、丈バランスは同じでブラウジング有りと無しで着用させた刺激群を用いての評価実験を行う予定である。 また、最近の衣料購買におけるインターネットショッピングへの応用を鑑み、実物衣服での評価実験に用いた上衣・下衣を着用させたマネキン画像による評価実験を行う。R1年度の結果から、「きちんと感」評価には上衣と下衣の丈バランスの影響が強いことがわかり、画像実験での準備段階としてマネキン画像における数値との比較も検討済みである。 R1年度の実物評価実験は、中高年女性被験者群と、主として工学部女子学生の若年被験者群で実施した。今年度も実物評価実験は上記の被験者群で行う。一方、今後の画像評価実験ではこれらの被験者群に加えて、ファッション系学生および生活科学系学生での評価実験を実施する予定である。 研究費は、マネキンレンタル料、被験者謝金、および関連学会での発表用の参加費・旅費に使用予定である。
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Causes of Carryover |
R1年度の中間的成果を国内学会および国際学会で発表したので旅費は予定通り使用した。評価実験に用いる実物衣服は、見栄え良く安価な布地で研究分担者が製作した。それにより衣服刺激用布地購入費が大幅に少なくて済み、また縫製用の謝金が不要となった。また実物衣服評価実験では、使用できる実験室の面積制限から並置できるマネキン数が当初予定より少なくなり、そのレンタル料が少なくて済んだ。以上の理由から次年度使用額が生じた。 R1年度の結果から、「こなれ感」にはブラウジングの影響がある可能性が示唆されたので、今年度は、新たに上衣を製作し、丈バランスは等しくブラウジング有りと無しで着用させた刺激群を用いての評価実験を行う予定である。またR1年度の若年被験者は主に工学部女子学生であったので、ファッション系学生のための被験者謝金、および色彩学会、感性工学会、視覚基礎研究会での発表用の旅費に使用予定である。
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Research Products
(3 results)