2019 Fiscal Year Research-status Report
Proposing an extracting method to comprehend what users really think about robots by means of everyday moral dilemma tasks
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19K12189
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小松 孝徳 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (30363716)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒューマン・エージェント・インタラクション / 認知科学 / 感性情報学 / モラルジレンマ |
Outline of Annual Research Achievements |
人間とのコミュニケーションを目的としたロボットが我々の日常生活空間に急速に普及しつつある.これらのロボットはあたかも家族の一員のような立場で稼働することが想定されているが,果たして実際のユーザはそのロボットを「何者」と認識しているのであろうか.本研究課題ではこの問いに対して,まず,非日常的な状況にてロボットに対する人間の認識を把握できる「モラルジレンマ課題」を基にして,ロボットが日常生活空間に普及することで起こりうる状況を想定した「日常的モラルジレンマ課題」を提案する.そして,ユーザがこれらのロボットをどのように認識しているのかを日常的モラルジレンマ課題を用いたアンケート調査によって多角的に分析し,ユーザのロボットに対する「本音」を炙り出し,人間はロボットを「何者」と認識しているのかの把握を目指す.
2019年度においては,医療倫理,道徳教育で使用されているテキストおよび教科書からモラルジレンマとみなされる状態を抜粋し,何と何が対立することでジレンマ状態を生じされているのかの網羅的調査を行った.そして,日常的モラルジレンマ課題のベースとなるべき対立項を整理することができた.来年度には具体的な課題の提案が可能な状態となったといえる.
さらに,「テセウスの船」パラドクスを用いることで,同一性という観点から,ロボットをどのように認識しているのかを把握できるのではと考え,予備的な調査を実施した結果「ロボットは人間とも一般的な人工物でもない中間的な存在として認識されている」ということが明らかとなった.この研究の方向性はロボットの認識をあぶりだすことを目的とした,日常的モラルジレンマ課題の応用可能性を拡張できると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日常的モラルジレンマ課題のベースとなるべき対立項を整理することができたため,今年度の研究目的は十分に達成したといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究成果をもとに,具体的な日常的モラルジレンマ課題の提案を行う.現在のところ,医療現場でのモラルジレンマ状況にロボットが導入されるシナリオを検討しているが,コロナウイルスの流行の影響によって課題の回答者に想定外のバイアスが生じている可能性が否定できないため,それ以外の状況への応用についても検討を進めていきたい.
また,テセウスの船パラドクスによるロボットの認識把握についても,不気味の谷およびロボットのアピアランスという観点を含めながら,研究を進捗させる予定である.このテーマによって,ユーザのロボットへの認識をより多角的にとらえることができると期待される.
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Causes of Carryover |
コロナウイルス流行の影響で,予定していた出張を次年度に延期したため.
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