2022 Fiscal Year Research-status Report
Evolutional perspective of multiseonsoty integretion from goldfish
Project/Area Number |
19K12194
|
Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
高橋 真 大谷大学, 社会学部, 准教授 (80508424)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 共感覚 / 比較認知 / クロスモーダル知覚 / 多感覚統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
共感覚は知覚現象であり、必ずしも言語化によって明らかになるとは限らない。むしろ、課題遂行中の別の感覚モダリティの刺激の提示による妨害効果や促進効果が生じるかどうかを見ることで、明確になる場合が多い。本研究では、共感覚の進化的起源を明らかにするため、課題遂行中の刺激提示による成績変化の有無によって、言語を用いないヒト以外の種であるキンギョにおいても共感覚が生じるかどうかを調べる。 上記の目的のために、本研究ではキンギョに、特定の刺激(白)に対しては右、別の刺激(黒)に対しては左を選択する条件性弁別課題を訓練した。学習が成立した後、ヒトの場合に共感覚が生じる刺激(白と高い音、黒と低い音)とそうではない刺激(白と低い音、黒と高い音)を提示した時、キンギョにおいても妨害、もしくは、促進効果が課題成績に生じるかどうかを調べた。 条件生弁別訓練を終了した10個体に対してテストを行った。テストは、明暗の視覚刺激とともに1000Hzの純音と4000Hzの純音を提示した。1000Hzの純音と黒、4000Hzの純音と白が提示された時が一致条件、逆の組み合わせが不一致条件となる。テストの結果、一致条件と不一致条件の間で統計的に有意な差が得られなかった。この結果は、キンギョにおいては人と同様の共感覚が生じていない可能性を示す。ただし、高音と低音の差が少ない可能性がある。そこで、低音と500Hz、高音を4000Hzとして、再テストを行った。上記と同じ10個体の結果では、先のテストと同様に一致条件と不一致条件でキンギョの課題成績に差がみられなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
すでにある程度訓練を行っていた個体の死亡により、新たな個体で訓練を開始する必要があり、新個体の導入、および、訓練のやり直しが生じた。また、訓練自体も長い期間を要することから、進捗状況の遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
先行研究のラットとは異なり、キンギョでは光と音の明暗の共感覚が生じていないという実験結果になっているが、明暗の程度がラットの場合と異なる可能性がある。そこで、明暗の違いを明確にして、再訓練を行い、再度、同様のテストを行う。 それと同時に、テストが終了した個体から、訓練する刺激を音に変更したうえで、異なる結果が得られるかどうかを確認していく。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、キンギョの実験が想定よりも遅れており、学会での報告等を実施できなかったことが大きい。また、Covid-19の感染予防の問題から、人に対する実験を実施できなかったことももう一つの要因である。 2023年度に関しては、追加の実験結果をもとに様々な学会での報告のための旅費や論文執筆における諸経費が必要となるため、2022年度よりも増加した経費を使うこととなる。 また、設備の増設等で必要になった物品の購入を行う予定である。
|