2019 Fiscal Year Research-status Report
若者の社会貢献意欲の育成を目的としたやる気・意欲の可視化および評価
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19K12195
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
大西 厳 広島国際大学, 心理科学部, 准教授 (40290803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒生 弘史 大正大学, 心理社会学部, 准教授 (10334640)
浅野 裕俊 香川大学, 創造工学部, 准教授 (70453488)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 感性計測評価 / 感性メンタルサポート / やる気 / 意欲 / 集中力 / 観察力 / 注視線計測 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研費採択課題では、「若者の社会貢献意欲の育成を目的としたやる気・意欲の可視化および評価」を遂行するにあたって、H31年度において、観察力、やる気、意欲と密接に結びつく生理指標の獲得を試みた。著者らは、これまでに赤外線非接触型注視線計測システムを用いて、似顔絵の上手な人と下手な人との差異およびその特徴抽出をおこなっている。研究代表者公表論文、「注視点計測による似顔絵を上手に描くための特徴量抽出」日本感性工学会論文誌, vol.15, No.4, p.p.553-561,(2016.8)より。本プロジェクトでは、その知見をもとに絵が苦手な若者を対象に、カラー写真モデルとモノクロ写真モデルを提示し、両者の似顔絵描画作業時に観察力、やる気、意欲に有意な差が生じるかを検討した。両課題においてそれぞれ注視点座標および注視時間の抽出をおこない、そのときの1分当たりの視線移動回数の違いについて検討した。その結果、モノクロ写真モデルを提示して似顔絵を描画したときには、カラー写真モデル提示時と比べて、1分当たりの視線移動回数が多くなることを確認し、観察力が向上する可能性を示唆した。また別課題において、4分割画面の各エリアに星のアニメーションを20個配置し、各エリア内の5つの星をランダムに2秒づつ点滅させたところ、点滅する星のあるエリアの観察時間が、残りの3つのエリアより有意に長くなることを確認し、被験者の興味レベルが向上することを示唆した。これらの研究成果は、「視線計測による似顔絵描画時の集中レベルの検討」第21回感性工学会大会、芝浦工業大学豊洲キャンパス、(2019.9) および「視線計測よるアニメーション効果の点滅がヒトの興味に及ぼす影響の検討」第15回感性工学会春季大会、福岡工業大学、(2020.3) において公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在15名の被験者から、データを獲得し分析を実施しているが、新型コロナウィルス感染症による実験の停滞によって研究の進行に遅れが生じている。その間、やる気・意欲に関係する生体情報として、似顔絵モデルと描画キャンバス間の1分当たりの視線移動回数、酸化ヘモグロビン濃度変化以外に、サーモグラフィーによる鼻部表面温度、心拍変動周波数解析の低周波領域と高周波領域のパワー比においても相関があることを確認した。さらに、実験開始前と終了後に実施する心理評価尺度アンケートを作成した。R2年度より、これらの生理指標を付加した実験環境を構築し、それらのデータ分析を逐次実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点において、やる気、意欲、観察力を評価する生体情報を獲得するために、似顔絵モデルと描画キャンバス間の1分当たりの視線移動回数、酸化ヘモグロビン濃度変化、鼻部表面温度、心拍変動周波数解析の低周波領域と高周波領域のパワー比が有効であることを確認している。R2年度において、被験者数を40名程度にした上で実験をおこない、先述の生体情報を獲得することによって、より汎用性のある評価指標を作成する。さらに、これらの評価指標の関係性を明確にし、やる気、意欲、観察力を可視化し客観評価する。また、R2年度において、本科研費採択課題で提案するやる気・意欲の評価指標が妥当であることを示すための汎化実験の環境を構築する計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の問題により、参加予定の学会が中止となり、計上していた旅費および宿泊費が執行されなかったため。 R2年度に開催予定の学会に参加し、研究発表をする予定である。
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Research Products
(4 results)