2021 Fiscal Year Research-status Report
オンデマンド膵臓刺激による2型糖尿病のデジタルコントロールの数理
Project/Area Number |
19K12198
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安東 弘泰 東北大学, 材料科学高等研究所, 教授 (20553770)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 寛太郎 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任准教授 (00557704)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 数理モデル / 膵ベータ細胞 / シミュレーション / カオス制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 2型糖尿病患者の膵臓内の膵β細胞を物理的に刺激することにより、そのインスリン分泌機能を調整するための数理的アプローチを検討する。特に、機能不全となった細胞の数理モデル化や膵臓刺激設計法の開発を目的とする。本年度は、膵β細胞単一細胞の数理モデル解析を非線形ダイナミクス制御の観点から進めた。具体的には、膵β細胞の数理モデルとしてChayモデルとRizモデルに対してフィードバック制御システムを構築し、その制御過程を数値的に解析した。これにより、低いコストでかつオンデマンドに制御する方法論を構築した。これは、膵β細胞のもつ非線形ダイナミクスを、その機能改善のために効果的に活用するための刺激設計の方法論にも繋げられる。さらに、膵ベータ細胞のインスリン分泌に与えるイオンチャネルの影響を詳細に調査した。その結果TRPM2チャネルがカルシウム依存チャネルを活性化しインスリン分泌を促進する効果があることがわかった。加えて糖尿病疾患の医療データを秘匿性を保ったまま共有する技術に関する検討チームに加わって、実データ検証を行った。 以上の成果は、3本の査読付き国際誌論文、さらには1つの国内研究会において発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膵β細胞の数理モデル化と機能正常化のための刺激設計についての研究が順調に進んでおり、適宜論文発表や学会発表などを行なっている。これまでは、単一細胞における検討は進んでいるものの、ネットワークレベルでの検討がさらに必要である。まだ実データに基づいた検討を進めることも視野に入れて、実臨床への応用可能性を見据えて数理解析を進めていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、単一細胞のモデルに関して構築したフィードバック制御モデルを細胞のネットワークモデルへ拡張する。特に、細胞の数理モデルとしては人の膵臓に相当するRizモデルを引き続き、検討する。またネットワークを大規模化して、より現実に近いシミュレーションを実施し、実際の治療法への応用を模索する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により研究推進の最後の詰めが完了しなかったことに加えて、研究代表者の機関移動があったため、次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(4 results)