2021 Fiscal Year Annual Research Report
医療ビッグデータ解析による非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の自然史解明
Project/Area Number |
19K12204
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉山 文 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (50778280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 純子 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (70155266)
秋田 智之 広島大学, 医系科学研究科(医), 講師 (80609925)
大久 真幸 広島大学, 医系科学研究科(医), 研究員 (20727250)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / NAFLD / 脂肪肝 / 疫学調査研究 / 医療ビッグデータ / レセプト解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease: NAFLD)の増加は世界的な公衆衛生上の問題となっているが、疾病対策の構築に必要な疫学的資料は未だ乏しい。 本研究は、NAFLDの実態および自然史解明を目指し、医療ビッグデータ分析のための基盤と経験を有する専門研究者がチームを組み、健康保険組合加入者の健診およびレセプトデータを連結したJMDCデータベース(2012-2017年度)から健診受診歴および飲酒歴情報を有する685,993人分のデータを抽出し、解析した。以下に主な結果を示す。 (1)健診受診歴を有する健康保険組合加入者集団(N=685,993)において、医療機関での脂肪肝診断率(レセプト病名から判定)は2.5%であった。一般に、健診受診集団における脂肪肝有病率は20-30%程度とされていることから、医療機関にかかっているのはその1割程度であることが示唆された。脂肪肝の新規発生率は、非飲酒者では1,070/10万人年(95%信頼区間:1,054-1,086)であった。 (2)肝線維化指標のひとつであるFIB-4 indexの各値における年代別割合をみると、FIB4-index≧2.67では7割以上は70代以上であり、年齢因子への依存が大きいことがわかった。 (3) NASH診断前肝生検実施率は6.9%であり、診断条件に含まれる肝生検が、実臨床においてはほとんど実施されていない実態が明らかとなった。 (4)マルコフモデルを用いた肝病態推移予測の結果、40歳男性(非飲酒者)『脂肪肝』を起点とし30年間追跡した場合、70歳時点で代償性肝硬変有病率は1.41%、非代償性肝硬変有病率は1.57%、肝がん有病率は0.66%となった。 以上より、本研究では医療ビッグデータの解析から脂肪性肝疾患に関する新たな疫学的基礎資料を提示した。
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Research Products
(2 results)