2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K12209
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
清水 佳奈 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60367050)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲノム配列検索 / 秘匿検索 / 秘密分散 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ゲノム情報を秘匿したまま安全にデータを分析することのできる手法の開発を目的としている.本年度は,昨年度提案した秘密分散法による全文検索法の高度化し,ゲノム配列検索に頻出するシードマッチを効率的に行うことのできるアルゴリズムの設計と実装を実施した.昨年度開発した全文検索法では,クエリの接頭辞とデータベースの一致を計算することができたが,シードマッチで用いられるmaximal exact matchesを計算するためには,クエリの長さの二乗に比例する計算量が必要であった.新たに開発したアルゴリズムでは,補助データ構造とそれを適切に秘密分散法で扱うことのできる処理を追加することによって,計算量を大幅に削減することに成功した.また,パーティー間のデータ通信モジュールも実装し,実ネットワーク上での性能評価が可能なプロトタイプの実装も行った.ゲノム配列データを用いた実験では,準同型暗号に基づく従来手法や秘密分散法でよく用いられるテクニックにより構成したベースラインアルゴリズムと比較して数十倍以上高速であることを確かめた. また秘匿全文検索法の高度化に加え,昨年度開発したTrusted Execution Environmentを用いたプライバシ保護GWASシステムについても,出力プライバシを考慮したシステムとするべく,統計検定など様々な分析の出力を差分プライバシを用いて保護する仕組みを複数検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度考案した全文検索アルゴリズムを高度化し,より実用に沿ったアプリケーションにも応用可能なアルゴリズムを開発することができた.また,昨年度はデータ通信部を実装せず理論値のみにより性能を評価していたが,データ通信を含む一連の処理をプロトタイプ実装し、実ネットワークにおける性能を評価することができた.また,TEEを用いたシステムの開発においては,出力プライバシの保護についても対応を検討した.
上記のように,昨年度開発した基本アルゴリズムおよび基本システムの高度化を実施しており,当初の計画通り進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までのところ,おおむね順調に進展しているため,2020年度も引き続き当初の計画に従って研究を進めていく.ゲノム配列検索については,現時点のアルゴリズムの性能においてボトルネックとなっているプロトコル開始時のデータ通信量のさく現法を検討する.また,ゲノムワイド関連解析については,今年度検討した差分プライバシ法を実装して一連のシステムとして完成させる.
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で,各種学会等がオンライン化されるなど旅費が減額となった.次年度の論文掲載費,レンタルサーバー使用料やRAの人件費,渡航が可能な状況であれば旅費として使用する.
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