2019 Fiscal Year Research-status Report
An advanced image registration technique for supporting rapid medical image diagnoses
Project/Area Number |
19K12219
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
徳永 旭将 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (50614806)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | イメージレジストレーション / マルコフ確率場 / EMアルゴリズム / 医療画像 / 画像処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では, カーネル密度推定とトポロジー保存のアイディアに基づき, 事前のチューニングを可能な限り低減でき, かつ実用的な位置合わせが実現できるイメージレジストレーション技術のプロトタイプの開発を行なった。本研究では, 多様な医療画像を想定した強度ベースの非剛体イメージレジストレーション技術の開発を行う。提案手法では, カーネル密度関数に基づき医療デジタル画像を連続な確率密度関数に変換し, 比較する2枚の画像から推定した密度関数間のダイバージェンスを, EMアルゴリズムにより反復的に最小化する。特に本研究では, (i) 自由変形する多様な形状の構造物の位置合わせ, (ii) マルチモーダル医用画像の位置合わせ, (iii)欠損領域がある画像同士の位置合わせの3つを, 現実的な計算時間で同時に実現する技術の確立を目指している。(i)については, 位置合わせ過程における物体のトポロジー変化を抑制する工夫が必要となる。そこで本研究では, マルコフ確率場に基づく変形場に関する事前分布の分散を, 深層学習などで用いられるadaptive moment estimationと同様のアイディアで決定する方法について検討を行なった。具体的には, 変形画像を2値化した画像の連結数や孔数のモーメントを反復過程で算出することで, 事前分布の分散を適応的に制御できるのではないかと考えた。テストデータを用いた実験結果では, 提案手法では分散の適応的な制御なしでも, 変形過程におけるトポロジー変化を, 既存のジレストレーションソフトウェアと比較して10%未満に抑制できることがわかった。これに加え, 適応的な制御を行うことで, トポロジー変化さらに抑制できることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に得られた成果により, 人工的なテストデータを用いた試験では, 提案手法が従来手法よりも位置合わせ過程におけるトポロジー変化を抑制できることが確認でき, 提案手法の基本的なアイディアがおおよそ期待通りのパフォーマンスを発揮することを確認できた。人工的なテストデータに加え, 蛍光顕微鏡や共焦点顕微鏡で得られた生物画像の位置合わせ問題でも, 同様の傾向を示すことを定性的にではあるが確認することができた。新型コロナの影響により, 当初予定していた学会参加や発表にキャンセルが生じてしまったが, 研究全体の進展に当該年度としては大きな影響は出なかったと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
マルコフ確率場モデルと事前分布の適応的制御のアイディアに基づき, 位置合わせ過程でのトポロジー変化を抑制しながらレジストレーションを行う方向性を確立することができた。今後の課題としては, (i) 暗い領域の構造の位置合わせの実現と, (ii)欠損領域を含む画像の位置合わせの実現である。提案手法では, 比較する画像のピクセル同士の対応度合いを潜在変数として考えている。現状のアルゴリズムでは, この潜在変数がピクセル輝度に比例する値を持つとしている。この潜在変数を, ピクセル輝度に比例させる代わりに, 局所的な明るさに依存しずらい構造を用いることで, (i)の課題に対応できると考えている。(ii)の課題については, 変形モデルとしてのマルコフ確率場モデルの分散に, 空間的な非一様性を過程することで改善できると考えている。より具体的には, 事前に比較する画像間の局所的な対応関係の確からしさを大まかに見積もっておき, 対応関係が存在しないと思われる領域では, マルコフ確率場モデルの分散を大きくすることで, 欠損領域を滑らかに補間するレジストレーション技術の確立を目指す。
|
Causes of Carryover |
当該年度の進展では, 変形場モデルの事前分布を適応的に制御するというアイディアの検討にリソースを割いたため, 当初の想定よりも網羅的な数値実験を実施しなかった。そのため, 計算機や人件費の執行が当初計画よりも先送りとなった。また, 予定していた学会参加や研究打ち合わせの出張が新型コロナの影響で抑制されたため, 旅費の執行も当初計画より抑制された。当該年度の成果により, アルゴリズムのプロトタイプはおおよそ確立できたため, 次年度以降に計算機や人件費の執行を, 当初の計画に従う金額で実施する見込みである。学会発表等は引き続き新型コロナの状況に影響を受けると予想されるが, 状況を見て人件費のウェイトを増やすなど, 費目間の流用等を検討する。
|