2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K12220
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
福地 佐斗志 前橋工科大学, 工学部, 教授 (70360336)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 天然変性タンパク質 / リン酸化 / キナーゼ / 配列解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質リン酸化データベースPhosphoSite Plus よりすべてのリン酸化部位データを入手した。入手したリン酸化サイトはキナーゼと紐付けされており、データの概要を掴むためデータの統計を取った。キナーゼ数、キナーゼ毎の基質数、キナーゼ毎のリン酸化サイト数などを把握するとともに、アミノ酸配列のデータセットを整備した。同時に、対応するUniprotデータベースエントリも取得できるようにした。 リン酸化の多くは天然変性領域(IDR)中の残基で起こるため、本研究はIDR配列のキナーゼ毎に基質配列のIDRの特徴を捉えることが目標である。実験的に実証されたIDRは限られるため、精度の良いIDR予測が重要である。本研究室で開発中のNeProcの予測モデルが完成し、世界的に信頼性の高い予測プログラムDisopred3, SPOT-disorderなどと性能を比較した。この結果、この二つのプログラムと同等または上回る予測性能を示した。 リン酸化サイト情報の多いキナーゼ、CK2A1, ERK2, PKACA, PKCAのリン酸化基質を解析した。まずNeProcによるIDR予測を行い、アミノ酸配列の特徴を示すもっとも簡単な量であるアミノ酸組成を分析した。アミノ酸ごとの組成に加え、連続する二つのアミノ酸の組成、二残基組成も分析した。基質配列間の比較に加えキナーゼ間の類似性もキナーゼドメインの系統樹を作成し比較した。この結果、IDRのアミノ酸組成、二残基組成から得られた類似関係とキナーゼの類似関係には相関は見られなかった。この結果から、類似キナーゼにリン酸下されるIDRのアミノ酸組成、二残基組成は必ずしも似ていないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究始めの年度であり、利用可能データの現状把握、その他のデータの整備を予定通り行うことができた。状況把握・データ整備に伴い今後利用可能なスクリプトの整備なども行えた。また、IDR予測プログラムNeProcの予測モデルが完成し性能評価が良好であり、今後研究に利用できる状態となった。解析としてアミノ酸配列の統計量として最も基本的なアミノ酸組成の解析を行うことができた。現状、まだすべてのデータを用いた解析は行なっていないが、次年度以降展開する研究の下地は十分に整えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は手始めとしてアミノ酸組成から解析を始めた。リン酸化サイトはアミノ酸配列そのものに特徴を見いだすのは難しいため、今後、電荷、側鎖の大きさ、疎水性指標、などの様々なアミノ酸の物理化学的性質を用い比較を行う。幸いこれらの物理化学的性質はAA indexというデータベースに収録されているので、これらの量を用いる。本年度、予測プログラムNeProcが完成した。NeProcはIDR予測のみならず、IDR中のタンパク質と結合する領域(protean segment; ProS)の予測も行うことができる。リン酸化現象はIDRとキナーゼの結合と捉えることができ、今後、NeProcのProS予測も比較の情報として活用してゆく。
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Causes of Carryover |
当該年度は研究準備に時間を当てた。このため現有、計算資源で研究を進めることができた。また、該当年度に当初は計算サーバを導入する予定であったが、該当年度の研究準備等の状況を踏まえ、次年度分も合わせより性能の良いサーバを導入する方が有益であると判断した。このため、次年度は助成金は主にサーバ導入に当てる。
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