2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K12220
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
福地 佐斗志 前橋工科大学, 工学部, 教授 (70360336)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | タンパク質リン酸化 / バイオインフォマティックス |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質リン酸化データベースPhosphoSite Plus よりすべてのリン酸化部位データを入手した。入手したリン酸化サイトはキナーゼと紐付けされており、データの概要を掴むためデータの統計を取った。キナーゼ数、キナーゼ毎の基質数、キナーゼ毎のリン酸化サイト数などを把握するとともに、アミノ酸配列のデータセットを整備した。同時に、対応するUniprotデータベースエントリも取得できるようにした。リン酸化の多くは天然変性領域で起きるため,天然変性領域を知るために,これらの基質タンパク質に天然変性領域予測を行なった.予測プログラムは本研究室で開発したNeProcを用いた.基質配列の天然変性領域が認識されるキナーゼ毎に特徴があるのかどうかを把握したい.リン酸化サイト情報の多いキナーゼ、6種のキナーゼファミリーに属する23個のキナーゼにリン酸化される基質を解析した。昨年度作成した解析パイプラインを用い,リン酸化基質がリン酸化されるキナーゼごとに特徴があるのかをさまざまな特徴量を用い吟味した.さまざまな特徴量の中で,電荷の偏りとプロリンの密度から特徴が見つかった.特にMAPKファミリーにリン酸化される基質配列で特徴が見られた.電荷の偏りを基に基質間で系統樹を描くと,リン酸化サイトに比較的近い部位での系統樹でMAPKファミリーの基質がクラスターを形成していた.プロリンの密度ではリン酸化サイトから離れた領域の配列で系統樹を描くとMAPK基質がクラスターとなった.このことから,MAPKにリン酸化される基質では,リン酸化サイトの近くの電荷の分布および離れた部位のプロリンの分布に特徴があることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は20年度に作成したパイプラインを用い,基質がリン酸化されるキナーゼ毎に特徴があるのかを探った.このパイプラインは,入力した特徴量ベクトルを基に基質間の距離を求め,系統樹を作成する.各基質の配列をウインドウの長さと特徴量を変化させ系統樹を描くことで,MAPKファミリーのキナーゼにリン酸化される基質に,リン酸化サイトの近くの電荷の分布および離れた部位のプロリンの分布に特徴があることが示唆された.このことは,これまでリン酸化サイト近傍のみに着目されていたモチーフ検索とは異なり,それ以外の部分にも配列的特徴があることを示唆しており,本課題の作業仮説をサポートする結果で有り,順調に研究が進捗しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で,MAPKキナーゼファミリーにリン酸化される基質配列に特徴があることが示唆された.このことは,MAPK基質は配列により区別できることを示している.しかし,本研究では多くの基質の平均値を基に系統樹を描いており,個々の配列がどれくらい区別できるかの吟味は行われていない.今後は,機械学習の技術などを用い,個々の配列が区別可能かどうかを解析してゆく.また,他のファミリーキナーゼにリン酸化される基質の特徴は掴みきれていない.このため,MAPKファイミー基質以外の配列的特徴についても追求してゆく.
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの蔓延により,学会発表などの場がほとんどなく旅費の支出がなかった.次年度では学会が対面やハイブリッド型で行われる可能性が高く.このため成果発表の予算として次年度に繰り越すこととした.
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Research Products
(1 results)