2019 Fiscal Year Research-status Report
情報推薦におけるユーザのパーソナリティと推薦の受け入れやすさに関する実証的研究
Project/Area Number |
19K12242
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
土方 嘉徳 関西学院大学, 商学部, 教授 (10362641)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 推薦システム / ユーザインタフェース / パーソナリティ / プレゼンター / ユーザ行動分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
オーストラリアのマッコリ―大学のShlomo Berkovsky教授と共に,パーソナリティによる推薦結果受容の実証実験を行うための,実験設計を行った.具体的には,推薦結果を提示する際のユーザインタフェースの主要な次元として,プレゼンテーション(ジャンル別,ユーザ評価別等),説明付け(説得型,アルゴリズム説明型等),優先度(興味・嗜好,多様性,人気度等),プレゼンター(専門家,友人,ボット)を検討した.この中で,プレゼンターの種類による推薦結果に対する受容性については,ほとんど研究がなされていないことから,プレゼンターとしてドメインにおける専門家,SNS上の友人,システム(アルゴリズム)を擬人化したボット,プレゼンター表示なしの4パターンを挙げて,これらのプレゼンターによる推薦結果の提示と,それに対するユーザの受容性(受け入れて購入や購読に至ったかどうか)について明らかにすることにした. 実験においては,4種類のプレゼンターからの推薦を,数やランキングの位置などに偏りがないように混在させて配置させ,ユーザがどの順番で推薦結果の詳細を確認したかと,最終的にどのアイテムを購入に至ったかを記録することにした.また,この実験システムでは,ユーザが指定した好きなジャンルに基づいたルールベースによる推薦アルゴリズムを採用し,ユーザによって受ける推薦結果の質に大きな違いが出ないようにした.現在は,この実験システムを開発しており,2020年度の前半にてパイロットテストを行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共同研究者のShlomo Berkovsky教授と,研究協力者である学部学生と,2週間に1回のペースでオンライン会議を行い,実験設計を行ってきた.推薦システムのインタフェースの次元には,プレゼンテーション,説明付け,優先度,プレゼンターと,多くの種類があるが,本研究ではこのうちプレゼンターの効果を検証する.しかし,他の3種類の次元においても,検討すべき要素が多く,最も標準的な要素を決定するまでに時間を要した.また,プレゼンターの提示方式についても,プレゼンター別のインタフェースや,今回採用したプレゼンターを混在したインタフェースなどが考えられたが,ユーザに気づかれることなく,プレゼンターの種類の違いを検証するためのインタフェースデザインにするのに時間を要してしまった. また,設計したインタフェースのモックアップシステムを開発し,それを学会発表することで,他の専門家の意見を得て,再設計する予定であったが,年度末に発生した新型コロナウィルスの影響により,それを行うことができなかった.研究代表者も共同研究者も,これまでに推薦システムの被験者実験の経験は十分にあるが,プレゼンターというエージェント(アバター)を介した推薦結果の提示は行っておらず,バーチャルリアリティや心理学における専門家の意見を得る予定であった. 実験システムの実装においても,推薦用データの整備やスマートフォン対応など,予想以上に技術的な困難に直面した.推薦用データについてはシリーズものの処理が,スマートフォン対応については画面サイズの違いの処理が,大きな問題になった.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度前半も学会開催の見通しが立たないため,個別にバーチャルリアリティの研究者にコンタクトを取り,意見をもらう予定である.この意見に基づき,実験システムの最終調整を行う予定である.バーチャルリアリティの研究者の中でも,アバターに対するユーザのインタラクションやコミュニケーションの違いについて研究を行っている者に意見を伺い,ユーザに実験での焦点に気づかれることなく,エージェントの違いの影響を十分に受けそうかどうか,確認してもらう予定である. また,新型コロナウィルスの対応のため,実験協力者には研究室のワークステーションによる開発ではなく,遠隔地におけるノートパソコンでの開発を行ってもらう.遠隔地での開発用の環境についても整備する予定である.
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Causes of Carryover |
実験設計で,考慮すべきインタフェース次元や,各次元におけるインタフェース要素の検討に時間がかかってしまい,またベースとなる実験システム(モックアップシステム)の設計に時間がかかってしまった. モックアップシステムを学会発表し,専門家の意見をもらう予定であったが,新型コロナウィルスの影響により,国内外の出張が中止になってしまった. また,モックアップシステムから大規模実験に耐えうる実験システムを研究協力者1名を雇用して開発する予定であったが,モックアップシステム開発の遅延と,専門家の意見をもらえなかったことから,この開発を行うことができなかった. 2020年度は,個別に専門家の意見を収集した後,研究協力者1名を雇用して実験システムの開発を行う.また,リモートでの開発になるため,リモート開発用のシステムを購入する.また,多数のユーザに実験協力を依頼し,大規模な被験者実験を行う.実験結果を論文としてまとめ,国内外の学会で発表する.
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