2020 Fiscal Year Research-status Report
情報推薦におけるユーザのパーソナリティと推薦の受け入れやすさに関する実証的研究
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19K12242
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
土方 嘉徳 関西学院大学, 商学部, 教授 (10362641)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 推薦システム / ユーザインタフェース / プレゼンター / ユーザ行動分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に立案した実験設計に基づいて,実験システムの開発を行い,パイロットテストを経て,被験者実験を行った. 具体的には,推薦結果を提示する際に,推薦システムを用いている他ユーザの選好情報を追加表示することにした.他ユーザの種類として,専門家,友人,ボットの3種類を用いた.実験では,この3種類に加えて,選好しているユーザを示さない「推薦者なし」を含めた4種類を比較した.専門家は推薦するアイテムのドメインの専門家(例えば,映画の専門家),友人は実世界やSNS上での友人,ボットは対象ドメインの知識を持っている人工知能である.上記の4種類の推薦者(プレゼンター)を挙げて,これらのプレゼンターによる推薦結果の提示と,それに対するユーザの受容性(受け入れて購入や購読に至ったかどうか)について明らかにした. 被験者実験は,互いにメンバーを認識している組織単位で行った.具体的には,10~20名程度で構成される当大学商学部のいくつかのゼミを対象の組織とした.9つのゼミのグループに協力を依頼し,5つのグループを「推薦者あり」の推薦システムを用いて推薦を受けてもらうグループAに,4つのグループを「推薦者なし」の推薦システムを用いて推薦を受けてもらうグループBに割り当てた.被験者は,合計134名(男性62名,女性72名)で,内訳はグループAが74名(男性35名,女性39名),グループBが60名(男性27名,女性33名)である. グループAの被験者とグループBの被験者で,推薦への受容についてカイ二乗検定で分析したところ,推薦者ありの方が受容しやすいことが分かった(P値=0.0078).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
共同研究者のShlomo Berkovsky教授と,研究協力者である学部学生と,2週間に1回のペースでオンライン会議を行い,実験設計を行ってきた.実験設計終了後は,1か月に1回のペースでオンライン会議を行い,システム開発,実験計画の詳細,実験実施について進捗報告と議論を行ってきた. 2020年度は,順調にシステム開発が進み,パイロットテストも行うことができたため,予定より早く被験者実験に着手することができ,またそれを終了することができた.開発した実験システムは,PCだけでなく,スマートフォンやタブレットでも適切に動作させるようにして,実験をオンラインのみで行えるようにしたことが良かったのだと思われる. また,事前にゼミの担当教員やゼミ長に連絡し,実験実施の許可を得るなど,お願いしたゼミの教育の一環として被験者実験に参加してもらったため,被験者集めや被験者の協力が比較的にスムーズに行えたことも,実験を早くに実施できたことにつながったのだと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,推薦者の種類ごとの分析,パーソナリティの影響の分析や,推薦リストの正確さを考慮した分析,発見性を考慮した分析などを,組み合わせて行っていく予定である. これらの複数の観点を一度に考慮することは難しいため,観点の重要さを考慮しつつ,重要な組み合わせにおいて統計的な分析を行っていく予定である. これらの分析を行ったのちに,成果を論文にまとめて学会で発表する予定である.しかし,2021年度も学会開催の見通しが立たないため,クローズドな研究発表会を開催するなどして,専門家の意見を聞きつつ,研究成果を社会還元できるように努めていく.
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Causes of Carryover |
2020年度の予算そのものは,予定通り執行できた.しかし,2019年度に生じた未使用額は,2020年度に予定していた調査用の学会参加と,一部の成果を発表する予定にしていた発表用学会参加の取りやめの影響である. 2021年度も学会発表の見通しは立たないが,順調に進んで被験者実験から新たに浮かび上がった問題点であるプレゼンターの表示方式の影響を明らかにする実験の準備と実施,また推薦者の種類,パーソナリティ,推薦リストの正確さ,発見性を考慮した分析を行っていくために,使用していく予定である.
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Research Products
(2 results)