2020 Fiscal Year Research-status Report
Society 5.0指向の問題解決型学習評価指標・フィードバックシステムの構築
Project/Area Number |
19K12246
|
Research Institution | Gifu National College of Technology |
Principal Investigator |
小川 信之 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60270261)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼松 秀行 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10185952)
矢島 邦昭 仙台高等専門学校, 総合工学科, 教授 (90259804)
中平 勝子 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (80339621)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 教育サービス / Society 5.0 / 問題解決型学習評価指標 / フィードバックシステム / PBL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,新しい議論型学習の評価法として学習の場における活性度を客観的に推定・分析するための評価指標を開発し,教育活動におけるフィードバックシステム実装の有効性を検討する.これまで学習者の主観で記述されたアンケート回答の分析や学習者のレポートの内容,会話を記録していた場合の談話分析等の学習の場の状況分析を,生体情報を元に取得できる音声情報(音素分析)や眼球運動・視線計測などを複合的に捉えて補助的に脳活性度計測を行うことで,より客観的に評価することを目指す.成果は,物理空間を共有するグループのみならず,遠隔会議システム(メタバース,テレビ会議システムなど)で実施される PBLにも適用可能となる. 本研究では,教育サービスにSociety 5.0の考え方を取り入れ,物理空間を共有しない新しい議論型学習の評価法として学習の場における活性度を客観的に推定・分析するための評価指標を開発し,教育活動におけるフィードバックシステムの有効性を検討する.対象とする議論型学習は,アクティブラーニングの中でも最も効果的とされる問題解決型学習(PBL)を対象とし,マルチモーダル生体情報を元に,学習の場の活性度を推定し,PBLの成果を評価するとともに学習の場へフィードバックをかける.その際の課題は(1)マルチモーダル生体情報の収集・集約手法の構築,(2)学習の場の活性度推定,の2つがあるので,学習の場の活性度推定に必要な情報の策定と,時刻同期を工夫した集約方法の開発,収集されるマルチモーダル生体情報と,テストケースで収集される学習者の心的状態の関係を機械学習の手法を用いてパタン化し,場の活性度推定を行う.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,おおむね実施計画通りに研究がすすんでいる.具体的には,教育サービスにSociety 5.0の考え方を取り入れることで,物理空間を共有しない新しい議論型の学習の評価法として学習の場における活性度を客観的に推定・分析するための評価指標の実装については,準備段階から開発段階へと進め,教育活動におけるフィードバックシステムの有効性の検証を進めている.対象とする議論型学習は,アクティブラーニングの中でも最も効果的とされる問題解決型学習(PBL)を対象とし,マルチモーダル生体情報を元に,学習の場の活性度の推定試行を行い,PBLの成果を評価するとともに学習の場へフィードバックをかける仕組みを改良している.その際の課題としては(1)マルチモーダル生体情報の収集・集約手法の構築,(2)学習の場の活性度推定の2つがあったが,学習の場の活性度推定に必要な情報の策定と,時刻同期を工夫した集約方法を改良し,収集されるマルチモーダル生体情報と,実際に収集される学習者の心的状態の関係を機械学習の手法を用いるパタン化をさらに深め,場の活性度推定を行うための基礎的な開発を行った.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では,場の活性度評価,およびフィードバックシステムに繋がる2つの課題を取り扱う.課題1.マルチモーダル生体情報収集:学習の場である物理空間に在籍する学習者のマルチモーダル生体情報を,内部生体情報(脈拍変化,血圧変動,GSR,瞬目回数,視線移動,脳活性度など)と外部生体情報(頭部位置,音素など)に分けて収集し,各地点で集積されたこれらの情報を1箇所に集約する体系を構築する.この際,計測箇所が多地点に及ぶことから,時刻の同期や機材のレンジなどの問題点を抽出し,可能な限り収集デバイスの差を取り除く方法の改良をする.課題2.学習の場の活性度推定:学習の場の活性度推定は,課題1で集約された学習者間の生体情報から導かれる客観的な心的状態として扱う.本研究では,ここに機械学習に加えてその他の手法も取り入れることで改良する.本研究における教師データは,マルチモーダル生体情報の測定値に対応する脳活性度や学習者の問題解決時の心理状態となる.これは,研究代表者・分担者の所属する組織から数人ずつ実験参加者(のべ50名前後を目標)を選定し,様々なトピックについて仮想空間を介したPBL授業を行うことで計測する.学習者の問題解決時の心理状態は5段階で主観計測・評価を行うとともに,簡易脳波計によって脳活性度を同時に測定し,心理状態評価の精度向上に務める.内部生体情報からは個人の活性度が,外部生体情報からはPBLに参加する集団の,つまり学習の場の活性度に対する教師データを得る.最終的にはPBL授業で得られるマルチモーダル生体情報のみから機械学習によって学習の場の活性度推定を行い,これを評価指標とする.以上の過程を経ることで,最終的には学習の場の活性度向上のためのフィードバックシステムの設計を行う.
|
Causes of Carryover |
本研究でのシステムの改良により研究当初段階での現有物品の再活用が可能となったことに加えて,COVID-19の影響で国際会議参加のための渡航が行えなかった.次年度は,当初研究計画での物品等を導入すると共に,COVID-19の状況を見極めながら国際会議参加等も行って研究遂行する.
|
Research Products
(15 results)