2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Learners' supporting module based on the educational big data analytics
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19K12251
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宇佐川 毅 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (30160229)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教育ビックデータ / 学習支援システム / ラーニングアナリティクス / 学習データマイニング / eラーニング / モンゴル / アフガニスタン / 国際共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
学習支援システム上の教育ビックデータを活用し、学習者個々人の修学状況の解析に基づく学習支援を目的として、令和2年度は以下の点について、研究を推進した。 平成30年度より開始したアフガニスタン・カブールポリテクニックとの共同研究を通じ、従来からの対面型の講義とブレンディド型の講義の比較を、複数年度・複数科目における学習履歴データおよび最終成績を用いて行い、その結果を論文として発表した。さらに、ブレンディド型講義を受講した学習者個々人の学習支援システム上の活動記録を元に、履修放棄の可能性の有無を、15週からなる講義において開始後4週までのデータで、最終的に不合格となった学生の80%以上を推定できることを明らかにした。 さらに、令和元年度までに開発した学習コンテンツを閲覧する際のマウス操作を記録する手法を、アフガニスタンの共同研究先で活用した。特に、通信帯域の制約がある中で利用できるようシステムを改良した上で、熊本大学に設置したeラーニングシステムをアフガニスタンからアクセスする形でONLINE試験を受験させ、不正行為の可能性の自動識別を試みた。具体的には、受験中に複数のタブを利用しており、試験を実施しているタブから一定時間離れた受講者を、不正をしている可能性のある学生と想定した。2つの科目におけるONLINE試験での推定結果では、80%以上の推定精度が得られた。また、コロナ禍への対応で急速に進んだ遠隔授業を収録したビデオを活用することを目指し、教材に関連したキーワードをビデオの音声トラックから抽出する手法についても研究を進めており、その結果を国際学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画立案時の想定に従い、学習支援システム上に保存された同一のシラバスを用いた科目における過去の教育ビックデータを用いることで、年度毎の学事歴の違いなどを正規化することで学生の修学状況を推定する手法を開発した。この手法を、講義実施形態や教材構成の違いなどを踏まえたうえで、モンゴル国立大学(2科目)やカブールポリテクニック(2科目)を履修した学生に適応し、その推定精度を評価した成果を国際誌で発表した。 一方、本研究で目的とする「履修中の学生の状況を動的に推定し、メンタリングや学習支援、さらには教授内容の最適化などを支援する機能の構築」に近づくことができると考え、学習者個々の学習行動の把握を並行して行うこととした。コロナ禍の影響で、国内の大学でも遠隔授業が急速に広がり、個々の学生の学習行動の把握は、習熟度向上という目的以外にも、学生の心身の健康状態をモニタできる可能性があると考え、研究内容をコロナ禍での就学支援に結びつける計画である。 以上から、当初計画した内容について一定の成果を出しつつも、新たな課題を克服するために付加的な研究テーマを追加した形で、研究を実施しており、「概ね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
学習支援システム上に保存された教育ビックデータを用いた履修放棄等の可能性のある学習者の推定については、今後も機械学習系のツールでの推定を試みる。加えて、動的な学習行動を把握するため、長期間の学習ビックデータに加え、マウストラッキングやWEBカメラによる視野分析など学習中の短期的なデータを活用し、学習者ひとり一人に対する学習支援を試みる。加えて、コロナ禍における学生の心身の不調推定にも、これらのデータが活用できる可能性があると考え、研究を展開した。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で海外で開催される国際学会への参加がすべてオンライン化されるとともに、共同研究者の招へいができず、旅費の支出が皆無となった。一方、論文のOPEN化を進めたことで、その他の項目の支出が増加した。
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Research Products
(12 results)