2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Learners' supporting module based on the educational big data analytics
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19K12251
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宇佐川 毅 熊本大学, 事務局, 理事 (30160229)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教育ビックデータ / 学習支援システム / ラーニングアナリティクス / 学習データマイニング / eラーニング / オンライン学習環境 / Moodle / 国際共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
学習支援システム上の教育ビックデータを活用し、学習者個々人の修学状況の解析に基づく学習支援を目的として、令和3年度は以下の4つ項目について研究を行った。 まず、対面講義での感染拡大防止のための教室における着座位置を含めた出席登録システムのデータ、学習支援システムおよびポータルシステムのアクセスログ、遠隔講義やハイブリッド講義で使用しているzoomシステムのアクセスログを解析し、講義受講中の学生の修学活動の分析することで、講義実施期間中に所属教育プログラム内において極端にアクセスの少ない学生の抽出を試みた。この結果と学修成果との相関については今後検討が必要であるもの、修学に困難を感じている可能性のある学生の自動検出の基礎的データとして利用できる可能性が見いだせた。ただし、この結果については、教学IRとして利用を想定しており、一般には公開できる状況にはない。 次に、プロセスマイニング手法に基づき、学生の履修計画と実際の履修履歴、さらにはカリキュラムの設計方針との関係性について解析を試みた。この分野での先行研究の多くは、個別のケースを取り扱っているが、ここではセメスター単位での学生の履修行動を経時的に分析することで、インドネシア・スラバヤ工科大学の情報システム工学部に所属する学生のデータにおいて、修業年限内に卒業する者や、留年または退学する者を一定予測できることを確認した。 また、アフガニスタンの高等教育機関において、ブレンディッド教育の有効性について、対面講義のみになる教育との比較により議論した。カブール工科大学のおける4科目について学習効果を比較した結果、3科目においては受講者の平均得点が10ポイント程度上昇するなど、一定の効果がみられた。 加えて、オンライン学習環境を向上することを目的に、インドネシア語の同時発話音声から話者同定及び書き起こし精度の向上について研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で急速に遠隔講義が普及し、学修履歴として従来の学習支援システムや大学ポータルシステムのログデータに加え、zoomのログデータも利用可能なった。また、感染拡大防止のために、対面講義では、講義への出席記録に着座位置の記録も利用可能となるなど、分析可能な学修履歴データが多様化してきている。これら新たに利用可能となった学修履歴データを活用することで、予備的な検討段階ではあるが、講義受講期間中に学修を継続することが困難を感じていると想定される学生個々人を抽出できる可能性が示唆された。現在研究を進めているカリキュラム設計と学修成果との関連性などマクロな履歴データの活用(国際誌で令和3年度に発表)と、出席や学習活動に伴うミクロな履歴データの活用を統合することを今後検討したい。 また、遠隔履修を想定した学修支援のための音声書き起こし(国際誌で令和3年度に発表)など、遠隔講義と対面講義の混在する環境下での学習支援についても、研究を進めており、これまで発表してきた学習支援システム画面上のマウスの位置を時系列データとして把握するシステム(国際誌で令和2年度に発表)を連携するなど、学習行動の分析に結びつけるための研究を進めている。 以上から、当初計画した内容について一定の成果を出しつつも、コロナ禍という環境の変化への対応を含めた追加テーマを含めて研究を実施しており、「概ね 順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍が生じる以前の申請段階では、対面講義が原則であり、LMSの利用は、講義中の資料提示や講義前後の自学自習やオンラインでの課題などに限定して、研究計画を考えていた。しかし、コロン禍で、感染状況に応じてセメスターやターム期間中も、対面から遠隔・遠隔から対面へと授業形態が変更される一方、陽性者や濃厚接触者となった場合や家族に基礎疾患を有するなどの事情等から対面講義に出席できない学生のためにハイブリット講義、さらには諸々の状況から同期型の講義への参加が難しい学生のためのハイフレックス講義など、学習形態の多様化が進んできた。この点を考慮し、学習行動の把握のために利活用可能なシステムは、従来のLMSや出席管理システムに加え、遠隔受講システム(zoom)やVODサーバ、さらには感染予防を目的として講義室における着座位置情報などを複合的に組み合わせることで、従来にない学習履歴情報の収集分析が可能になると想定される。また、遠隔での試験実施における公正性の担保など、新たな研究テーマもでてきており、遠隔受講時のマウストラッキングなどこれまでに開発してきたシステムの活用により一定課題を解決できると想定され、これらについても、研究を推進していきたい。
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Causes of Carryover |
国際学会への参加などを想定して、旅費を見積もっていたが、コロナ禍のため、会議自体が遠隔参加となり、旅費の支出を見合わせた。また、共同研究者との打ち合わせのために旅費についても、海外への出張や海外の研究者の招聘もできず、旅費についてはまったく執行できず、当初予定から大きく支出計画が変更となった。
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Research Products
(10 results)