2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Learning History and Learning Motivation at the Internet University Contributing to Life 100 Years
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19K12258
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Research Institution | Tokyo Online University |
Principal Investigator |
加藤 泰久 東京通信大学, 情報マネジメント学部, 教授 (60814960)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 学習履歴 / 学習意欲 / ラーニングアナリティクス / インターネット大学 / 生体情報 / 社会人教育 / eメンタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
インターネット大学におけるオンライン授業において、学生の学習履歴・学習進捗状況に合わせて、教職員が学習者に支援メッセージを送ることにより、ドロップアウト率を減少させ、学習進捗率が向上する可能性があることを示した。授業のドロップアウト率の授業全体を通しての変化に関しては、授業全体のほぼ半分ぐらいまで進めばドロップアウト率が低下し、最後まで学習が進むことが判明した。つまり、ドロップアウト率を下げるためには、授業期間の前半部分に適切な方法で学生をエンカレッジすることが有効である可能性がある。特に教員から学生への直接のメッセージが有効である可能性がある。ただし、インターネット大学の学生によっては、教職員からのインタラクションや呼びかけをより好む学生と好まない学生とに分かれるので注意が必要である。また、教職員からメッセージが多すぎると学生のモチベーションを損なう可能性も考えられる。 インターネット大学で学ぶ学生の学習を継続するために行っている工夫に関するアンケート調査の結果から、「仕事と学びのバランス」、「計画やスケジュール」、「SNSの活用」などが学習を継続するキーワードであることが判明した。また、一般の通学制の大学の学生に対する学習意欲に関するアンケート調査から、集中して学べる場所は教室や自宅ではなく、どちらかというと、図書館や喫茶店の方がよいということがわかり、集中するためには音楽を聴いている学生がほとんどどであり、集中を妨げる要素としては、スマートフォンが一番大きな影響を与えていることが判明した。 なお、生体情報の計測に関しては、脳波測定デバイス(ヘッドバンド型)、瞬き計測デバイス(眼鏡型)、脈拍測定デバイス(腕時計型)の予備実験を実施した。それぞれ、基本的な性能としては、生体計測情報の取得に利用できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インターネット大学におけるオンライン授業において、学習進捗状況とドロップアウトとの関係を1つの授業科目の結果からその傾向と学生の特性を示した。さらに多く授業について調査することで、学生のドロップアウト傾向や科目の特性との関係を調査し、学生のスタディスキル取得の支援を目指す。 教職員から学生への的確なメッセージにより学習進捗率が向上することが判明したので、そのタイミングや頻度、方法等についてもさらなる検証を行い、ノウハウの形式知化をはかる。支援タイミングについては学事暦、特に休日期間等にに大きく依存するので、毎年、学事暦に合わせてカスタマイズする必要がある。 インターネット大学で学ぶ成績優秀学生へのアンケート調査の結果から、いくつかの学習継続につながるキーワードが得られたので、今後は、幅広く学生へのアンケート調査等で検証し、実際の学習行動との照合等をおこない、検証を進める。 生体情報の計測に関しては、脳波測定デバイス(ヘッドバンド型)、瞬き計測デバイス(眼鏡型)、脈拍測定デバイス(腕時計型)について、基本的な性能としては、生体計測情報の取得に利用できることを確認したが、今後、複数の被験者でのデータ取得を行うことや、生体情報の中のどのような指標が学習と強く相関があるのか等の検証を行う。 学生への学習履歴や生体情報の可視化に関しては、提示情報の画面イメージは構築したが、実際のインプリメンテーションは今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に引き続き、2020年度においても、学習者の学習スタイルと学習意欲の関係についてアンケート調査等を実施すると共に、学習意欲と学習履歴との関連について引き続き分析・調査を行う。 2020年度入学の学生に対して、2019年度において分析を実施した同じ科目に対して、学習継続のパターンを分析し、2019年度と比較した上で、共通点や相違点の分析を実施する。 新型コロナウィルスの蔓延にともない、学内における対面での学習者の生体情報の計測はいったん取りやめて別の方法を模索することを検討する。また、脳波や脈拍測定のデバイスを送付して返送してもらう調査方法についても学生に対して一定のリスクが伴うので、既に何らかの生体計測のデバイスを所有している学生を中心に被験者を募集し、遠隔のみでの実験方法等に変更を検討する。尚、生体情報に関するデバイス計測については、学内の教職員を中心に可能な範囲で予備実験を継続し、集中度や学習継続度の指標としての可能性を探る。但し、オンラインのインタビューは実施可能なので、学習意欲と集中度との関係についての調査を実施し、オンラインインタビューを合わせ行う。 学生へのアンケートやインタビュー調査の結果から、学習を継続するためのキーポイントや、成功するための学習方法のパターンを見出し、各学生の特性に合わせてリコメンドできるようなフレームワークの確立を目指す。その際に、生体情報の計測データを利用して、学生のセルフマネジメントが強化できるような仕掛けを考える。 また、インターネット大学において実際に学生が利用している学習管理システムやアプリ等にアドオンできるような枠組みを検討し、その中に組み込むことで2021年度の実証実験につなげる。ドロップアウトの低減に関する教職員から学生への最適なインタラクション、タイミング、頻度についても引き続き実践と分析を継続して行う。
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