2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Learning History and Learning Motivation at the Internet University Contributing to Life 100 Years
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19K12258
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Research Institution | Tokyo Online University |
Principal Investigator |
加藤 泰久 東京通信大学, 情報マネジメント学部, 教授 (60814960)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 学習意欲 / 学習履歴 / オンライン大学 / ラーニングアナリティクス / 社会人教育 / eメンタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
インターネット大学におけるオンライン授業において、学生の学習履歴・学習進捗状況に合わせて、教職員が学習者に支援メッセージを送ることにより、ドロップアウト率を減少させ、学習進捗率が向上する可能性があることを2019年度に引き続き示した。授業のドロップアウト率の授業全体を通しての変化に関しては、2019年度は授業全体のほぼ半分ぐらいまで進めばドロップアウト率が低下し、最後まで学習が進むことが判明していたが、2020年度は、全般的に2019年度より授業受講率が増加し、回を追う毎の受講率減少パターンが2019年度とは異なる傾向を示した。つまり、その年の学生の状況や社会情勢、学事暦等により学生の学習パターンや学習の進捗状況が変化することを確認した。 新型コロナの感染を避けるため、対面での実験やインタビュー、機材の郵送付等による実験の代わりに、Webアンケートによる調査を実施した。オンライン大学で1年以上学ぶ約100名の学生に対して、学習意欲、学習動機、生体計測・学習履歴情報提供の可能性、等に関する調査を実施した。 アンケート調査の結果からは、「自己向上志向」、「特定課題志向」、「継続意思」などが強く、「交友志向」が通学制の大学の学生に比べて比較的小さいことが判明した。また、「学びの楽しさ」と「学習中の集中度」が学習意欲、学習動機と強く結びついている、という結果が得られた。個人の学習履歴の振り返りについては全般的に肯定的であったが、自分の生体情報についてのフィードバックは、個人毎に受容性に差があることが判明した。 なお、学習意欲を喚起する可能性のある教材作成手法、映像コンテンツ作成手法について幅広く検討を行い、予備実験を実施し、オンライン学習のコンテンツに利用できることが判明したため、2021年度の評価実験のコンテンツとして利用できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インターネット大学におけるオンデマンド授業において、学習進捗状況とドロップアウトとの関係を1つの授業科目の年度毎の分析結果からその傾向と学生の特性を示した。さらに多く授業について調査することで、学生のドロップアウト傾向や科目の特性との関係を調査し、学生のスタディスキルの取得支援学習意欲向上を目指す。 教職員から学生への的確なメッセージにより学習進捗率が向上することが判明しているので、そのタイミングや頻度、方法等についてもさらなる検証を行い、ノウハウの形式知化をはかっている。支援タイミングについては学事暦、特に休日期間等に大きく依存するので、毎年、その年の状況や学事暦に合わせてカスタマイズする必要がある。 インターネット大学で学ぶ成績優秀学生へのアンケート調査の結果から、いくつかの学習継続につながるキーワードが得られた。また、幅広い学生への学習意欲・学習動機に関するアンケート調査により、交友志向というよりは、目的指向で学んでいる学生が通学制大学の学生と比べて比較的多いことが判明した。学習意欲と関連する項目についてさらなる調査を実施する。 生体情報の計測に関しては、脳波測定デバイス(ヘッドバンド型)、瞬き計測デバイス(眼鏡型)、脈拍測定デバイス(腕時計型)について、基本的な性能としては、生体計測情報の取得に利用できることを確認したが、今後、可能であれば、複数の被験者でのデータ取得を行うことや、生体情報の中のどのような指標が学習と強く相関があるのか等の検証を行い、実利用環境でのデザインを実施する。また、学生への学習履歴や生体情報の可視化に関しては、学生のニーズを調査しつつ、選択的提示方法等により個人の特性に応じた情報提供を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に引き続き、2021年度においても、学習者の学習スタイルと学習意欲の関係についてアンケート調査等を実施すると共に、学習意欲と学習履歴との関連について引き続き分析・調査を行う。2021年度入学の学生に対して、2019年度・2020年度において分析を実施した同じ科目に対して、学習継続のパターンを分析し、年度毎に比較した上で、共通点や相違点の分析を実施する。 新型コロナウィルスの蔓延にともない、学内における対面での学習者の生体情報の計測実験は行わず別の方法を模索することを検討する。また、脳波や脈拍測定のデバイスを送付しての実験についても学生に対して一定のリスクが伴うので、オンライン環境のみで実施可能なアンケート調査(Web)・インタビュー調査(ビデオ会議)等に研究方法を検討する。ただし、2021年度後期に新型コロナウィルスの状況が好転すれば当初の予定通り、対面での実験や装置送付による実験を実施することとする。 学生へのアンケートやインタビュー調査の結果から、学習を継続するためのキーファクターや、成功するための学習方法のパターンを見出し、各学生の特性に合わせてリコメンドできるようなフレームワークの確立を目指す。その際に、生体情報の計測データも活用して、学生のセルフマネジメントが強化できるような環境の提供を目指す。 また、オンライン大学において実際に学生が利用している学習管理システムや学習アプリ等にアドオンできるようなフレームワークの初期検討を実施する予定である。ドロップアウトの低減に関する教職員から学生への最適なインタラクション、タイミング、頻度についても引き続き実践と分析を継続して行う。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通り使用したが、56円の未使用額が出たため、次年度に繰り越し、物品購入費に組入れることとする。 2021年度も国際会議はオンライン開催予定のため、データ分析用のソフトウェア等を充実させ、データ分析の質を高める。また、生体計測用のデバイスやWeb面接調査等の謝金に利用する。
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