2023 Fiscal Year Research-status Report
プログラムの挙動の視覚化に教師の意図を反映するシステムの開発と評価
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19K12259
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
山下 浩一 常葉大学, 経営学部, 教授 (30340110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 達裕 静岡大学, 情報学部, 教授 (30234800)
小暮 悟 静岡大学, 情報学部, 教授 (40359758)
野口 靖浩 静岡大学, 情報学部, 准教授 (50536919)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 学習支援システム / プログラム視覚化システム / プログラミング教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
(23-1) 我々がこれまでに構築してきたプログラム視覚化(Program Visualization; PV)システムであるTEDViTは,教師が自身の説明意図に基づいて対象世界の描画を自由に生成できる特徴を持つ。ここで,対象世界とはプログラムの処理対象を論理的データ構造として表現したものをいう。プログラムの処理対象の世界は,対象世界と具体的メモリイメージの二つの方法で同時に視覚化されており,抽象度の異なる二つの世界を対比しながら観察することで学習者のプログラム理解を支援する。しかしその一方,処理対象の世界に対する具体的な操作の手順を表すプログラムコードについては,カスタマイズの対象外で抽象度の異なる視覚化を提供する手段を持っていなかった。そこで我々は,具体的な処理手順を表すプログラムコードに加え,プログラムコードよりも抽象度の高いアルゴリズムを表現するPADを描画し,段階的にPADの抽象度を変化させながらプログラムのふるまいを視覚化できるシステムを構築した。ここで言うPADの抽象度とは,チャンキングするプログラムコードのブロックの大きさのことであり,より大きなブロックをチャンキングしたものは抽象度が高く,小さなブロックをチャンキングしたものは抽象度が低いものと捉えられる。構築したシステムを実授業に投入して学習者のプログラム理解度を評価したところ,TEDViTと比較したときの本システムの優位性は示唆されなかったが,本システムを利用した学習によって学習者がプログラムに対する理解を深めている様子が示唆された。授業後に実施したアンケート結果からは,多くの学習者がTEDViTに比較して本システムに好意的な印象を持つ結果が得られた。(雑誌論文1)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の目的は,TEDViTを拡張し,広範なアルゴリズムを対象に,教師の意図を反映させた形式で,学習者自身のプログラムに基づくPVを生成できるようにしたシステムを構築することである。研究成果(23-1)は,TEDViTの生成するPVの表現の幅を広げることによって,システムを投入可能な授業や学習形態の拡充をねらった試みに位置づけられる。本研究成果では,PVとして描画すべき対象として,論理的データ構造の世界だけでなくプログラムコードについても教師の意図に基づいて抽象度の異なる描画を可能とする機能が必要であるという観点を示すことができた。こうした点から,本成果は研究の幅に広がりを持たせる研究成果であったと評価できる。また,本成果はコンピュータ利用教育に関する歴史ある大規模な国際会議the 31st International Conference on Computers in Education (ICCE2023)に採択されており,国際的に高い評価を受けていると考えられる。 以上,PVの表現の拡充において進捗が認められるが,研究の幅に広がりが生じて新たに対応すべき観点が示されたことから,本研究はやや遅れていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果を発展させる形で,引き続きTEDViTが対応可能なプログラム,アルゴリズム,データ構造の拡充を進めるとともに,我々のシステムを導入する実授業における学習シナリオを検討し,必要な拡張をTEDViTに適用する。 これまで,主としてTEDViTが生成する視覚化の拡充や,教師によるPV定義のためのコスト削減について研究を進めてきているが,TEDViTは一般的なPVシステムと同様,学習者とPVの間のインタラクションを提供する機能が不十分であることが問題となっている。学習者エンゲージメントの観点からは十分な学習効果が発揮される学習環境が構築できていないため,システムを投入する実授業の選択肢が非常に乏しく,大規模な評価実験の実施が困難であった。そこで我々はTEDViTを拡張し,プログラムコードの一部をブランクにして,PVを観察しながらブランクに当てはまるコードを解答させるなどの機能を持つシステムの構築を計画している。このような問題を提示してそれに解答させることは,学習者にPVの観察以外の新たな学習タスクを与えることを意味しており,従って学習者エンゲージメントの向上が期待できる。また,学習者自身の解答に応じたPVを提示することは,コルブの学習サイクルの構成を支援し,学習効果を高めることに寄与するものと考えられる。 こうした拡張を通じてシステムを投入する実授業に幅を持たせ,情報系学生だけでなく文科系学生をも被験者とした評価実験を実現したいと考えている。多様な学生を実験参加者として募集することには困難を伴うため,実現可能性は不透明ではあるが,システムの効果を多様な観点から評価したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究で構築を目指すシステムのベースとなるPVシステムであるTEDViTは,我々がこれまでに構築してきたコードリーディング支援システムLEPAをベースとして開発されたものである。当初の計画ではシステムのプロトタイプ構築とその動作テストを行うための開発用PCおよびノート型PCの購入を予定していたが,昨年度に引き続きLEPA開発時の開発環境やさまざまな調査データの新環境への移行計画に遅れが生じており,購入計画にも遅れが生じている。次年度使用額が生じたのは,これらの開発用機材の購入の遅れが主たる要因である。新しい開発環境への移行計画を早急に取りまとめ,早期に機材購入を遂行できるような購入計画を策定する予定である。 また,国内学会の研究会や国際会議がインターネット上の仮想空間をも利用するハイブリッド開催となるケースがあり,旅費の予算執行が困難な状況が続いていることも要因の一つである。旅費の執行については,各学会の開催形態の判断に依存する部分が大きく,明確な見通しを立てることが困難な状況にある。同様に,学習支援システムの評価実験のために被験者を募集することも困難な状況が続いている。謝金等の人件費や旅費や物品費の科目間流用を引き続き検討し,柔軟な予算執行の下で研究活動を円滑に進めていくことに取り組む。
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Research Products
(1 results)