2019 Fiscal Year Research-status Report
Educational System based on analysis of learners' programming process in programming exercise
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19K12265
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小西 達裕 静岡大学, 情報学部, 教授 (30234800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 浩一 常葉大学, 経営学部, 准教授 (30340110)
小暮 悟 静岡大学, 情報学部, 准教授 (40359758)
野口 靖浩 静岡大学, 情報学部, 講師 (50536919)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 学習教育支援システム / プログラミング教育 / 振り返り学習支援 / 教師支援 / プログラミングプロセス分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主要な成果として、学習者のプログラミングプロセスを分析し、学習者・教員に有用な情報を抽出する手法について検討した。そのサブタスクとして、(1)演習時の学習者の挙動を観測する環境を開発した。(2)得られた情報を分析し、有用な情報を抽出する機構を開発した。 (1)については、プログラミング開発環境上での学習者のプログラム編集過程をリアルタイムでモニタリングし、サーバにログデータを自動的にアップロードする機構を開発し、100名弱のプログラミング演習クラスにて無理なくデータの収集ができることを確認した。(2)については、先行研究で開発した学習者の行き詰まり検出機構をもとに、より教師にとって有用な情報を引き出す解析手法を提案した。 (2-1)学習者の行き詰まりが生じた時間帯と収集したログから、完成プログラムのどの箇所の作成で行き詰っていたかを判定する機構。これにより教師は、完成プログラムを採点するだけではわからない学習者が感じた困難を推定できる。(2-2)学習者プログラムと教師が用意した標準アルゴリズムを突き合わせて、学習者の行き詰まり箇所が標準アルゴリズムのどの箇所にあたるかを推定する機構。これにより教師は、クラス内の学生が標準アルゴリズム中のどの箇所の実装で行き詰ったかの分布を俯瞰できる。(2-3)標準アルゴリズム中に埋め込んでおいたタグ情報を手掛かりに、学習者がどの学習項目について理解が不十分だったか推定する機構。これにより教師は、ある学習テーマの理解度について、複数の演習問題の解答ログを総合的に分析して判定できる。 以上の検討に基づき、解析システムを試作した。 また副次的成果として、ソフトウェア設計プロセス学習支援システム、デバッグ学習支援システムを設計開発した。これらは本研究で学習者のプログラミングプロセスをモニタリングする際のプラットフォームになりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究計画において令和元年度・2年度に達成する予定であった「プログラミング演習時の学習者のプログラミングプロセスの分析手法の開発」について、教師にとって有用と思われる3つのレベルが異なる解析手法を提案できたこと、またこの手法を実行するシステムの実装を行ったことは当初の研究目的に対して順調な進展を果たしたといえる。一方、このシステムを実授業(プログラミング演習)において実践的に活用し、システムの出力する解析結果が教師にとって有用か否かを実験的に評価するには至らなかった。この点で、本年度に作成したシステムの有効性のエビデンスは十分に示されているとは言い難い。とはいえ、もとより解析手法の実験的評価は令和2年度の課題であると考えており、研究計画の遂行に遅延が生じているわけではない。 以上のことから、当初の予定以上の進捗とはいえないものの研究計画に沿った十分な進展を果たしており、全体として「(2)おおむね順調に進展している」、と評価する。 なお本来であれば以上の成果を年度末に学会発表すべきところであったが、新型コロナウイルスの流行期にあたったため、本研究に携わった研究分担者や大学院生とも協議のうえ口頭発表を見送った。そのためこの成果に対する年度内の学会発表はない。このことについては不可抗力と考え、本評価には反映させていない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度については本年度に開発した学習者のプログラミングプロセス分析機構を実験的に評価し、必要に応じて解析手法や判別のための閾値・判別関数などの最適化を行う。 令和3年度以降については、課題遂行プロセスの分析結果を有効に活用できる学習教育支援システムを開発に研究目的をシフトしていく。具体的には、(1)学習者が自らの課題遂行プロセスを振り返り、自らの弱点や十分理解できた事柄を再確認する振り返り学習支援環境を構築する。学習者プログラムの開発プロセスを時系列に沿って見える化するとともに、その過程で学習者が行き詰ったと推定できる時区間を強調表示して困難だった点に気づかせるGUIと、気づきを記録(外化)させるワークシートの組み合わせを構想している。(2)演習中に個別指導を行う教員が行き詰まり原因を同定することを支援する教育支援環境を構築する。机間巡視する教員の保持するタブレット上で指導対象学生のプログラムを表示するとともに、学習者の理解度が低いと推定される事柄を編集履歴の特徴(例:プログラムの同一箇所の場当たり的編集など)からヒューリスティックスによって推定した結果を教師に示唆することを構想している。(3)演習後に授業改善を行う教員が各学習者にとっての課題難易度を把握したり、学習者の行き詰まりの原因を把握することを支援する教育支援環境を構築する。提出されたプログラムの各部の開発に要した時間を学習者毎にヒートマップ化して表示すること、これをクラス全体について重積して表示すること、学習者の理解度が低いと推定される事柄の推定結果をクラス全体について集計して表示することを構想している。(4)開発した各環境を研究代表者・研究分担者が担当する実授業に試験導入して評価する。
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Research Products
(2 results)