2021 Fiscal Year Research-status Report
学習ログにおけるバーストをもとにした学習行動の分類と学習支援
Project/Area Number |
19K12273
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
久保田 真一郎 熊本大学, 総合情報統括センター, 准教授 (80381143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松葉 龍一 東京工科大学, 先進教育支援センター, 教授 (40336227)
平岡 斉士 熊本大学, 教授システム学研究センター, 准教授 (80456772)
合田 美子 熊本大学, 教授システム学研究センター, 准教授 (00433706)
鈴木 雄清 大分大学, 高等教育開発センター, 准教授 (00333253)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学習ログ / 学習行動 / 先延ばし行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,学習管理システム(LMS)の学習ログをもとに,各学習者の「達成度」と「取り組み具合」の1週間の変化パターンを考察し,先延ばし行動などいくつかの学習行動タイプ別に学習者を分類する.学習行動タイプごとに分類された学習者群に対して,自己調整学習方略をもとにした学習支援を行うことで,学習者に適した学習支援を行うことができ,高い学習効果が得られることを明らかにする. 学習期間中のアクセスが集中する区間(タイムゾーン)のアクセス回数を特徴ベクトルとして,学習者の取り組み具合を表す指標として,先延ばし行動に着目し,考察した結果,テキストへのアクセス回数を特徴ベクトルに加えることにより,特徴のある2つのグループに分類可能で,2つのグループ間で,対象とした区間のクイズ得点平均点に有意な差が見られた. 今年度は「取り組み具合」として学習者がオンラインテキストのページへアクセスする順番に着目した.ページへアクセスする順番の変化は,DTW(Dynamic Time Warping)の値を採用した.様々な学習行動タイプへの分類を目指していたが,まずは先延ばし行動を行う学習タイプに着目して,先延ばし行動のために課題提出が間に合わない学習者と提出が間に合う学習者との分類を検討した.複数の特徴量で検討を行い,授業テキストに週で初めてアクセスした時刻,最後にアクセスした時刻,DTWを要素として,限られた環境下であれば再現率が1となる設定でも8割程度の精度で分類できた.この分類結果をもとに学習支援手法の検討を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和元年度前半までに「達成度」と「取り組み具合」の指標化を計画していたが,継続して「取り組み具合」について考察するに留まった.当初,学習ログから 「達成度」という指標を考察していたが,学習ログを共同研究者と考察すると,学習者は集中的にオンラインテストに取り組み,「取り組み具合」との関係を見るまでもなく,「取り組み具合」=「達成度」という関係にあることがわかり,方針転換するまでに時間を要した. 「取り組み具合」として学習者がオンラインテキストのページへアクセスする順番に着目した.ページへアクセスする順番の変化は,DTW(Dynamic Time Warping)の値を採用した.様々な学習行動タイプへの分類を目指していたが,まずは先延ばし行動を行う学習タイプに着目して,先延ばし行動のために課題提出が間に合わない学習者とそうでない学習者との分類を検討した.複数の特徴量で検討を行い,授業テキストに週で初めてアクセスした時刻,最後にアクセスした時刻,DTWを要素として,限られた環境下であれば再現率が1となる設定でも精度0.87, F値が0.93 程度で分類できた.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,複数の学習行動タイプを扱う難しさから,先延ばし行動の学習行動タイプを対象として検討を進めているが,別の学習行動タイプについても検討を行う.令和4年度前半には,共同研究者と研究打ち合わせを行い,自己調整学習方略をもとに各学習行動タイプに適切な学習支援について検討を行う.また,学習支援手法決定後には,共同研究とともにシステム開発に向けた各機能の設計を行い,可能な範囲でシステム開発を発注する.令和4年度後半までには,共同研究者とともに,形成的評価に着手する.また,令和4年度には,前年度の成果についてまとめ,国内外での研究発表を予定している.
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Causes of Carryover |
学習者を分類するための特徴量の検討が遅れ,学習支援手法の検討およびシステム構築が遅れ,コロナ感染状況に鑑み,国内や海外での学会参加を控えた.今年度は,学習支援にテスト的に取り組むために,研究補助によるこれまでのデータ整理,支援システムの検討を早期に開始する予定である.また,感染状況によっては国内外での発表を行い,専門家と広く議論し,学習支援システムの完成度を高める予定である.これら研究補助およびシステムのプロトタイプ開発,旅費などに使用する計画である.
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Research Products
(3 results)