2019 Fiscal Year Research-status Report
多様な類似性解釈機構を備えた楽曲検索手法の開発~音響的類似性と言語的類似性の融合
Project/Area Number |
19K12282
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大久保 好章 北海道大学, 情報科学研究院, 助教 (40271639)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 形式概念 / 楽曲クラスタ / 音響類似性 / Skyline-近傍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,楽曲の多様な解釈・意味付け機構を備えたクラスタ分析エンジンを基礎とする楽曲類似検索手法の開発を目的としている.本年度は主に次の二点について研究を行った. 楽曲特徴量を制約とする高速な形式概念クラスタアルゴリズムの設計と実装:楽曲に付与されたタグラベルの情報を属性とみなした形式文脈から楽曲形式概念を列挙することで,タグラベルの共有に基づく多様な楽曲クラスタを抽出できるが,その品質は必ずしも十分ではないことから,楽曲の音響情報を考慮した拡張を行った.具体的には,形式概念抽出アルゴリズムに,音響情報の類似性制約に基づく枝刈り規則を組込むことで,得られるクラスタの品質を改善するとともにアルゴリズムの高速化を試みた. Skyline-近傍に基づくクラス分類手法の検討:従来の距離に基づく考え方とは異なる視点からオブジェクトの近接性を捉えるための新たな枠組みの可能性について考察を行った.具体的には,k-近傍法の改良と位置付けられる,Skyline-近傍に基づくクラス分類手法について検討した.オブジェクトの Skyline は,その周辺オブジェクトとの境界線となるオブジェクト群から成り,距離に基づく従来の近接関係では捉えることのできない近傍概念であることから,これまでとは異なる視点からオブジェクト間の類似性を考える足掛かりとなることが期待できる.こうしたskyline-近傍に基づいてクラスが未知のオブジェクトの分類を試み,従来の k-近傍法によるそれとの比較・考察を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
楽曲特徴量を制約とする高速な形式概念クラスタアルゴリズムに関しては,実装作業,および,実験用楽曲データの準備に時間を要したため,それらによる計算機実験の実施には至らなかった.特に,楽曲データについては,タグ情報と音響情報の両者を有することが必須であり,その選定と加工作業に予想以上に時間を費やすこととなった.その結果,今年度の成果を論文等にまとめ切ることができず,当初の計画からやや遅れているとの判断に至った. Skyline-近傍に基づくクラス分類手法についても,システムの実装や実験を実施するには至っていないことから,やや遅れていると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
楽曲特徴量を制約とする高速な形式概念クラスタアルゴリズムに関しては,実装作業をほぼ終え,現在その動作確認の最終段階にある.それが終了次第,作成した楽曲データをもとに計算機実験を開始する.具体的には,音響特徴量制約を満たす楽曲形式概念の全列挙によって得られる概念数(クラスタ総数)を観察し,多過ぎる場合は,音響特徴量を追加することでさらに制約を強化して抽出ターゲットを絞り込む.逆に,少な過ぎる場合には制約の緩和が必要であり,標準的な音響特徴量を単独で用いることを検討する.なお,これらの検討は,得られた楽曲クラスタの品質評価の結果も考慮して行う必要があることから,評価者を募ったユーザによる品質評価も同時に実施する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響により,3月に予定していた旅行が急遽中止となり,使用計画の変更を余儀なくされたが,年度内では一部対応しきれなかった. 未使用額は,翌年度の旅費の一部に組み入れる予定である.
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