2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of multi-tracer method for evaluation of groundwater flow in urban area
Project/Area Number |
19K12293
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
林 武司 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (60431805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安原 正也 立正大学, 地球環境科学部, 教授 (40358205)
中村 高志 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60538057)
中田 晴彦 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (60311875)
黒田 啓介 富山県立大学, 工学部, 准教授 (30738456)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マルチトレーサー法 / 都市域 / 地下水流動 / 環境同位体 / 人工甘味料 / PPCPs |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度もCOVID-19の流行が継続し,現地調査を十分に実施できない状況が続いたことから,以下の作業を中心に研究を行った. 昨年度から進めている,現存湧水の分布と地形,地質,土地利用の変遷との関係の検討については,湧水の水質データや,湧水のある自治体や周辺自治体の水道水源地下水の水質データや上水道・下水道普及率に関する情報の収集を行った.これらのデータや情報を整理した結果,水源地下水については,明瞭な水質の変動は認められなかった.これに対して湧水では,水質データのあるものや年が限られるものの,経年的に硝酸イオン等の人間活動に大きく関連する溶存成分の濃度が増加していることが示唆された.また,湧水の水質組成の経年的な変化は,下水道が普及してからも継続していることが窺えた.このことは,下水道の普及が進行しても,依然として下水漏水が地下水涵養源の一部となっていることを示唆するものである.この点については,我々の首都圏都心部における先行研究の結果と整合する. また,研究対象地域のうち都市化の進展が緩やかな地域を対象として,湧水や浅層地下水の調査を実施した.その結果,主要溶存成分や環境同位体等の性状には,生活排水等の人間活動に起因すると考えられる特徴が認められた. さらに,COVID-19の流行が生活習慣等について大きな社会変容をもたらし,下水中に含まれるPPCPs等の生活由来物質の濃度や組成が変化していると考えられることから,COVID-19流行以降の地表水・地下水の化学性状の変化に関する国内外の研究のレビューを行った.この結果,国外では環境水中のPPCPs濃度の増加事例のあること等が確認できた.このことは,本研究の遂行に際しても,COVID-19流行の影響に留意する必要のあることを示すものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度も,COVID-19の流行の継続により現地調査を十分に実施できなかったが,上述したように現地調査に着手するとともに,湧水の分布や土地利用の変遷等に関する情報の収集・整理や,COVID-19の流行が地表水・地下水の化学性状に与える影響のレビュー等を進めており,これまでに実施してきた地下地質構造の把握等とあわせて,本研究で用いる環境トレーサーの性状評価に用いる情報の整備は特段の問題なく進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見について研究者間での共有化を進めるとともに,現地調査を実施し,各トレーサーの性状の把握を行う.現地調査については,調査対象の優先順位を見直し,優先度の高いものから調査を進める.なお,現地調査の実施に際しては,調査対象の所有・管理者の状況や天候等を考慮して時期を決定する.また,得られた結果の評価に際し,上述したようにCOVID-19の流行に伴う社会変容の影響について慎重に検討する.
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Causes of Carryover |
本研究では,現地調査ならびに各種トレーサーの分析に予算の多くを割り当てている.調査・分析環境の整備に必要な予算については執行済みであるが,COVID-19の流行の継続により現地調査を十分に実施できていないことから,予算の多くが未使用となっている.今後,現地調査ならびに各種トレーサーの分析等を実施して随時,予算を執行する.また,今後の調査・分析状況に応じて予算の再分配を行う.
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